終身雇用制が崩れ、今ある仕事が10年後もあるかすらわからない現代では、予期せぬキャリアチェンジを強いられることも少なくありません。このような現代の状況に応じて生まれたのが、2001年にダニエル・ピンク氏が出版した『フリーエージェント社会の到来』で広く知られるようになった「フリーエージェント」という働き方。
このフリーエージェント、一体どのような働き方なのでしょうか?
フリーエージェントとは?
フリーエージェントとは、組織に雇われず好きな場所・好きな時間で自由に働く人々のこと。フリーエージェントは、フリーランス、臨時社員、ミニ起業家と大きく三つに分けられます。日本ではまだまだ少数ですが、米国では広く普及しており、すでに約3000万人以上がフリーエージェントとして働いていると言われています。
具体的には株式投資家や作家・弁護士・コンサルタントなどの職に従事している人が会社を離れ、個人事業主として活動する傾向が多く見られるようになりました。
フリーエージェント登場の背景
フリーエージェントという働き方が登場してきた背景は、大きく分けて二つ挙げられます。
デジタル技術の進歩
飛躍的なデジタル技術の進歩によって、個人や少人数でも独立性や柔軟性といった小規模ビジネスの長所を失うことなく、大企業に引けを取らない結果を出せる環境を生み出せる時代になりました。また、デジタルネットワークの進歩により、資本を調達しやすくなったことも大きな要因の一つだと言えるでしょう。
終身雇用制の崩壊
少子化により、若年労働者数が減少し、終身雇用制が崩壊しつつあることも背景の一つといて挙げられます。
若年労働者が豊富であった1950~1980年頃までは、日本企業は毎年安定的に成長を続けていました。しかし、1990年頃から不況始まったことや若年労働者数が減少したことにより、企業の成長はストップしてしまうことに。そうなると終身雇用制の維持も従業員の雇用自体も難しくなってしまいます。
このように、いつ会社が倒産したり、雇用が打ち切りになったりするかもわからない時代。組織に頼らず自分の力で自分のキャリアを築く必要があるからこそ、フリーエージェントという働き方が生まれてきたと言えるでしょう。
フリーエージェントのメリットとは?
時間や場所の制約がない
ネットワークの環境さえ整っていれば、世界中いつでもどこでも仕事をすることが可能です。また、一般企業のように定時の概念がないため、自分の好きな時間に自分のペースで仕事が進められます。
フリーエージェントの多くは自宅やカフェなどを職場としています。また、オフィスを持たず、世界中を駆け回りながらブログを執筆しているフリーエージェントも。
自己実現の手段となる
フリーエージェントになる人の多くが組織を抜け、会社の中では出来ないことを自己実現の手段として選ぶよう。
ゴア副大統領の首席スピーチライターの経験を持つダニエル・ピンク氏は、著書の中で以下のように語っています。
社会的成功を求めるのであれば、大企業に入ることや社長になることが合理的な選択かもしれません。しかし、自己実現やワークライフバランスを求めるのであれば、時間や人間関係に制約がある組織ではなかなか実現が難しいことも。
資金リスクが少ない
通常、起業を考えた時は、ある程度まとまった資金が必要。資金があれば良いのですが、多くの場合は融資を受けるなどして資金調達をします。成功すれば良いのですが、多額の借金を抱えることになるため失敗することも考慮するとリスクは極めて高いです・。
一方、フリーエージェントの場合、パソコンとネット環境とわずかな資金で誰でも始められるため、リスクや敷居の低いビジネスと言えます。
自由ゆえに高いセルフマネジメント能力が必要
フリーエージェントは自由に時間を使えたり、大企業にいては実現できないことが実現出来たりと良いとこ取りの働き方に思えますが、注意も必要です。
自由が増える代わりに、組織にいることのメリットは失われてしまいます。事業の規模を広げる機会もなかなか得られず、やりたくないことをやって稼ぐということもあり得るかもしれません。
また、フリーエージェントは全てが自己責任。上司の指示を仰いで行動するわけではないため、自分自身を律せないとどんどん堕落してしまう可能性も。また、突然収入が0円になることもあり得ます。よって、高いセルフマネジメント能力が求められるのがフリーエージェントの厳しさだと言えるでしょう。
フリーエージェントの最大の魅力は「自己実現を果たせる」ということ。自己実現を果たせるか否かによって人生の質は大きく変わってきます。
もちろん、自由である代わりに絶え間ない努力が必要です。常に最新情報を入手し、自分自身を高め、市場価値を高め続けなければなりません。
自分自身を律し、高め続ける努力が出来るのであれば、フリーエージェントという働き方によって、より良いキャリア人生を築くことが可能となるのではないでしょうか?
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