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日本には自信のない人が多すぎる――ストイックなあなたに、メンタルトレーニングのススメ【前編】

Yudai Imamura

2015/03/11(最終更新日:2015/03/11)


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 「今の仕事ぶりに、満足できていますか?」この質問に、あなたは何と答えるだろう。もし「自分なんてまだまだ……」とストイックに自分を追い込んでいるとしたら、それは危ない。その思考が、あなたのメンタルを脅かす要因になっているのかもしれない。

 そう語るのは、メンタルトレーナーの石津貴代さん。「メンタルトレーニング」というと、アスリートが行うもの、というイメージが強い。だが、彼女が代表を務めるLieto-Mental Conditioningには、数多くの営業マンや経営者といったビジネスマンが足を運ぶそうだ。ビジネスマンのためのメンタルトレーニングとは、いったいどのようなものなのだろうか?


――「メンタルトレーニング」と聞くと、スポーツ選手のためのもの、というイメージが強いと思います。近年ではビジネスにも取り入れている方が増えてきているのでしょうか?

 すごく増えてきていますね。私も元々、スポーツ選手のメンタルトレーナーになりたいと思ってこの世界に入りましたが、ビジネスマンにも需要があると気づいたのは独立してからですね。会社の経営者や役員の方、それに営業マンの方がたくさんいらっしゃったのを見て、「メンタルヘルスではなく、メンタル強化に興味を持たれるビジネスマンが増えてきているんだろうな」と感じました。

 おそらく、海外のトップビジネスマンはメンタルトレーナーを付けているという情報を知り、「日本にはいないのか」と検索して来る方が多いんだと思います。スポーツでも、日本でメンタルトレーナーを帯同させているチームは未だ少ないでしょうけど、海外では高校・大学のレベルでもメンタルトレーナーがついていることが一般的。この業界において、日本は海外と比べてだいたい20~30年ぐらい遅れていると言われているみたいです。


――ビジネスマンへのメンタルトレーニングは具体的にどのような人へ、どのように行っているのでしょうか?

 例えば、会社経営について悩みを抱えている経営者のほとんどは、コンサルタントに相談するでしょう。ただ自分の悩みになると、家族に言えば心配されますし、かと言って会社で部下に悩みを打ち明けたら、周りの士気が下がるじゃないですか。だから、経営者の多くは気持ちを“デトックス”しに来る。自分の気持ちを整理して心の状態をスッキリさせて、仕事のパフォーマンスをより高めていく、という方法をとっていますね。

 また、営業マンでは「とにかく数字を挙げるために、自分の強みを最大限活かすにはどうしたらいい?」と尋ねてくる方が多いですね。大抵の人は、自分の強みを間違って認識していたり、「こうあらねばならない」と気負いすぎたりして、自分本来の良さが出ていない。本来の自分を知らず知らずの内に抑えこんでしまい、自分を表現できていないから、ストレスも溜まってくるのです。

 だから、自分の持つ強みをしっかりと把握してもらい、いかにストレスなく、自分の趣味や特技も活かし結果を出せる営業スタイルができるかを一緒に考えていきます。そのために、自信をつけるワークをやったり、モチベーションを高めるための考え方、失敗した時の気持ちの切り替え方などを学んでいただいています。このように、営業マンとリーダー層の方ではトレーニングの内容も全く異なります。

 ここ一番での集中力を鍛えたい、という方から対人関係まで、心に関する相談は全般的に担当していますが、私の仕事はカウンセラーではありません。あくまでも現状何かのパフォーマンスが一定数出せていて、かつ、より向上させるために背中をどーんと押すのが、メンタルトレーナー。だから筋トレと同じで、もっと上のステージで戦える自分になりたい、という方から依頼されることが多いですね。


――メンタルに不安を感じている人の心理状態には、どんな特徴がありますか?

 「日本人には自信のない人が多い」という話をよく聞きますが、その理由は幼少期から褒められる、または自らを褒める機会に乏しいからだと考えます。日本人の謙遜、謙虚の姿勢は素晴らしいのですが、海外に比べ、圧倒的に自己承認の機会が少ないと感じますね。

 多くの方は、親から「もっとできるでしょ」「お兄ちゃんなんだからやって当たり前」と言われ、認めてもらう機会が少なかったはず。それもあって、自分でもこれまでやってきたことに対して「こんなのできて当たり前」と、なかなか自分の努力を認めようとせず、ネガティブ意識が根付いちゃうんですね。

 ストイックな方ほど、このタイプに当てはまるんですよ。そういう人は我慢強いし行動力があるので、一定のレベルまでは自分の努力で成長します。でも、ある時突然今までの自分の努力が虚しく思えたり、急に自信がなくなったりしてしまうんです。

 自信がある人の思考法というのは、過去に自分がどれだけの成果を挙げてきたのか、ということをちゃんと自分で認識しているもの。だから、現状自分がこのレベルにいて、将来的な理想像に近づくためにはこれからどのようなことをしていけばいいか、とイメージできているんです。(続く)



石津貴代(いしづ・たかよ)さん プロフィール

Lieto-Mental Conditioning 代表 メンタルトレーナー
1979年生まれ。20歳の頃から務めていたスポーツ番組のラジオパーソナリティの仕事を通して、大舞台で力を発揮できないアスリートを目の当たりにしてきた。その経験から、目標・夢を実現するための「メンタルの重要性」に気づく。25歳で会社員を辞め、メンタルトレーニング・カウンセリング・コーチングを学び、数多くのトップアスリートがいる現場にて実習を積んだ後、独立。現在はプロ野球・プロテニス・ラグビー等のトップアスリート、経営者やリーダー層のトップビジネスパーソンを中心に50名以上と個人契約。ジャンルを問わず、様々な方へのメンタルトレーナーとして活躍中。

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