「これは自分が本当にやりたかった仕事じゃない」そういって、すぐに会社を辞める人たちが後を絶ちません。
早期退職する人たちに対して、「仕事を選んでいる」「ガマンが足りない」と言うのは簡単です。ただ、オリエンタルランドで働きながら40歳近くまで自分探しをしていた大住力氏は、「長いこと探して見つけた自分のやるべき仕事ほど、誇らしいものはない」と述べています。
今回は大住氏の著書『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』から、仕事への取り組み方について、少しご紹介します。
自分だけの役割を探し続けるために
著者は、「自分だけの役割を見つける」ことは、人生において必死になって取り組まなければならない重要なテーマだと述べています。
ただ、会社を早期退職してしまった人は考えなくてはならないことがあります。それは、「その会社で自身の役割に取り組もうとしたのか?」ということ。
もし、自身に求められていた「作業」すら満足にこなせていなかったのだとしたら、それは問題です。ディズニーでは、それで仕事したことにはなりません。
会社に入ったばかりの人は、まずは作業を覚えることが求められます。作業は単調でつまらなく、「こんなことをやるために自分は入社したんじゃない」と思うかもしれません。
しかし、「作業」と「仕事」がきちんと区別できていれば、作業がつまらないからといって、「これは自分のやりたかった仕事ではない」と落胆することはありません。大切なのは、どのような役割を果たすか、だからです。
「作業」と「仕事」はどう違う?
では、Duty(作業)とMission(仕事)はどのように区別されるのでしょうか?
ディズニーランドにおいて「作業」は、マニュアルで細かく決められて、誰がいつやっても同じ結果が得られるもの、と定義されています。
つまり作業というのは、やって当たり前のこと。作業だけやって「自分は仕事をした」と思ってはダメで、常に頭で考えて行動することが必要です。そうして初めて「仕事をした」と言うことができます。
本気の姿に意味がある
著者がディズニーの研修を終えて配属されたのは、「ゼネラルサービス部カストーディアル課」。ディズニーの園内をホウキとチリトリで掃除するカストーディアルの仕事です。
そんな新人である著者の教育係になったのが、体が熊みたいに大きいコワモテの男(通称:クマさん)。クマさんは、見た目が怖いだけでなく、昔は本当に暴走族のリーダーだったそう。
著者がクマさんに最初に言われた仕事は、「ひたすら歩いてひたすら掃け」。著者はとにかく園内を掃除し続けましたが、正直それにどんな意味があるのか、よく分かっていませんでした。
そこでクマさんに、「なんでもっと意味のある仕事をさせてくれないんですか?」と聞くと、こういう答えが返ってきたそう。「ゲストは、お前の本気の姿に感動するんだ」
ディズニーランドにお客が集まるのは、ミッキーやアトラクションだけが理由でなく、働いている人たちがみんな一生懸命だから。例えば、子どもが「トイレに行きたい!」といったら、キャストが一緒に手をつないで連れていってくれるように。
人は、本気で対応してくれる相手を見ると、感動して、放っておけなくなる。だから本気の姿を見せることに意味がある、とクマさんは話しました。
仕事で与えられた作業に取り組み、その上で自分で考え行動していくのが仕事。『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』は、「作業」と「仕事」を同じに考えないことの大切さを教えてくれました。
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