ビジネス小説のベストセラー作品である『ザ・ゴール』はご存知ですか? イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット氏によって書かれた本で、組織における「制約理論(TOC)」という考え方を提唱したものです。ビジネスの定番書といっても良いでしょう。
実は、エリヤフ氏の『ザ・ゴール』をマンガでわかりやすく解説している、『ザ・ゴールコミック版』という本がありました。ただマンガになっただけでなく舞台設定が日本の工場なので、組織環境が身近になり、「制約理論(TOC)」を理解しやすくなっているのが特徴です。今回は、この本から一部をご紹介します。
制約理論(TOC)とは?
会社という組織で働いている以上、自分に任された仕事には他の仕事との「つながり」があるもの。そして、組織のメンバーの能力は、全員一定ではなくそれぞれ「バラツキ」がありますよね。エリヤフ氏によると組織の生産性というのは、この二点に注目することが大切なのだそうです。
組織の中で一部の効率(または、個人の効率)を向上させたとしても組織には「つながり」があり、能力には「バラツキ」があるため、相対的に見ると生産性は向上しません。部分的に効率を上げたとしても、最終的にボトルネックとなる部分が全体の生産性を左右しているということになります。
そして、そのボトルネックを改善していくことで、全体が最適な状態になるというのが「制約理論(TOC)」です。
組織の生産性を正確に測る三つの評価指標
ボトルネックを明らかにするためには、現状の組織の生産性はどの程度のものなのかを測る必要があります。そのために、エリヤフ氏は次のような三つの評価指標を挙げています。
①「スループット」
生産ではなく、販売を通じてお金を作り出す割合のこと。生産したものが売れなければスループットではありません。
②「在庫」
販売しようとするものを、購入するために投資したすべてのお金。つまり、生産のプロセスの中にあるお金です。
③「業務費用」
在庫をスループットに変化させるために費やすお金。生産を行う業務時間や待機時間を含めた人件費などのことを指します。
以上のように三つの評価指標を、組織に(この本では、工場に)応用して考えることで、生産性を明らかにできるでしょう。
『ザ・ゴール コミック版』では、今回ご紹介したものだけでなく、舞台である日本の工場の例をもとにした組織の生産性を飛躍的に向上させる方法が解説されています。
原作を読んで躓いてしまった経験のある人にとってオススメですが、初めて「制約理論(TOC)」を学ぼうとしている人には、入門編として読むのにも最適でしょう。さらに詳しく知りたい方は、ぜひ手にとってみては?
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