内閣府の調査によると、死刑制度について容認する声が約80%に上ることが分かった。過去最高だった2009年の調査からは5.3ポイント低下。また廃止すべきだとする回答は9.7%と前回よりも4ポイント上昇している。
世界での死刑制度の現状は?
死刑制度は世界では減少傾向にあると言われている。しかしその現状はどうなのだろうか。
死刑制度存置国は少数派なものの人口比では多数派
アムネスティインターナショナルの2013年末の調査によると、死刑制度存置国が58カ国であるのに対して、廃止国(事実上の廃止国も含む)は140カ国と圧倒的多数を占める。しかし世界における人口上位の国の多くで依然として死刑制度が採用されていることから、死刑制度採用国家の人口は世界の半数を超えていると見られている。
しかしながら世界の潮流としては死刑制度廃止が依然とし続いている。
なぜ日本には死刑制度肯定派が多いのか
世界のおよそ三分の二の国が死刑制度を廃止しているにもかかわらず、日本では依然として死刑制度賛成派が多数を占めている。この乖離は一体どこからきているのだろうか。
一つ目に宗教の問題が挙げられる。日本と異なりキリスト教徒、なかでもカトリック教徒が人口の多くを占める国においては宗教上の理由から死刑が容認されづらいという現実がある。また、こうした国々では政治と宗教の距離が近いことが多い。
対して日本では、仏教が死刑を積極的に肯定しているということはないものの国民の生活に深く根付いているとは言い難く、死刑制度に対して個人の感情による意見を抱きがちだ。
また日本では死刑に次ぐ刑が無期懲役となっており、終身刑が存在しない。両者の違いは無期懲役には仮釈放の可能性があるのに対して、終身刑にはその可能性がないという点だ。こうした点に対する国民感情や、刑務所に長期間収容するというコストの面などに、死刑容認派が多数を占める理由を見ることもできる。
今回の世論調査においても過去の調査と同様、死刑容認派が多数を占める結果となった。冤罪の危険性などもあるが、民意としてはそれを差し引いても死刑制度存続が希望されているのが現状である。
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