数多くの動画配信サービスが生まれる現在。各サービスが魅力的な動画コンテンツを用意しているが、競合に勝つためにはコンテンツだけでなく、「収益モデル」が優れていることが欠かせない。
特に、民放のテレビ放送に慣れ、これまで家で見る動画コンテンツにお金を払ってこなかった日本人を相手にするにあたって「どのようにお金を集めるか」は重要になってくる。
動画配信サービスの3つの収益モデル
動画配信サービスには、大きくわけて3つの収益モデルがある。
SVOD(定額制)モデル
SVODモデルは、定額制のモデル。このモデルを採用する日本のサービスとしては、「Hulu」や「dビデオ」が有名だ。ユーザーにとっては、レンタルDVDとは違い、どれだけ動画を見ても値段が変わらないのが魅力だろう。店舗まで行かなくてもよい手軽さに加え、定額とあれば、ユーザーにとってもとっつきやすいのではないだろうか。
しかし、どんな動画も定額で提供することにはデメリットもある。単純な会員数で収益が決まってしまうため、魅力的なコンテンツが必要だが、その動画のライセンス取得にも多大なコストを要する。その費用のやりくりをいかに行うかが、このモデルの成功のカギをにぎっているだろう。
AVOD(広告)モデル
旧来のテレビとよく似たモデルであり、広告収入によって収益を得ている。そのため、ユーザーが試聴する動画は無料。ユーザーにとっては、これまでのテレビと同じように見られることもあって、馴染みやすい文化ではないだろうか。
しかし、まだまだ影響力はテレビに程遠い。その中で、広告をどのように集めるのかなどという課題もある。将来はAVODモデルになっていくと考える人もいるが、まだまだ市場は未熟である。
TVOD(都度課金)モデル
TVODモデルは都度課金モデルと呼ばれるモデルである。従来のレンタルDVDと同じく、「一本◯◯円」で動画を見ることが出来るスタイル。従来との違いは、それを店舗まで借りに行かなくてよくなったことである。SVODやAVODに比べて画質が綺麗であったり新作が沢山配信されたりと、一本あたりの値段が高い分魅力的なコンテンツを集めることが可能になっている。
課題としてはやはり、定額制や無料のサービスに比べて金銭面での魅力に欠けるため、その部分をどうやって乗り越え、ユーザーに課金してもらうかという部分になる。
様々な形のある収益モデルだが、現在ではそれが組み合わされることも多い。AVODモデルやSVODモデルでも、一部都度課金モデルを取り入れているような形が増えているのだ。「どのモデルで勝負するのか」ではなく、「どう組み合わせて魅力的なサービスを作っていくか」が大事になると考えていいだろう。
動画配信サービスが流行するとどのような影響があるのか
様々な収益モデルで魅力的なコンテンツを提供する動画配信サービス。では、その流行の先には、どのような影響があるのだろうか。
特に影響を受けるのは、やはりテレビ局だろう。人々の動画視聴の常識がテレビ画面からPCやモバイルの画面に移ってしまうと、テレビを見られることで広告収入を得てきたTV局の利益は大きく下がってしまう。
テレビ局が、動画配信サービスを活用する時代
しかし、動画配信サービスが普及することは、TV局にとっても悲観すべきことばかりではないのだ。確かに、動画配信サービスが普及すれば、TV放送をリアルタイムで楽しむ視聴者が減ってしまうかもしれない。しかし、TV局には大きな武器となる「良質なコンテンツ」が存在する。
米国では以前から、ケーブルTVや衛星放送事業者に自らのコンテンツの提供を行う文化が存在した。それが現在、日本で「動画配信サービス」に対して行われようとしている。
「見逃し配信」と称して、様々な動画配信サービスに現在放送中のドラマが配信されていたり、テレビ東京がアニメを、日本テレビがドラマやバラエティをHuluに提供していたりと、「コンテンツ」を動画配信サービスに提供することで収入を得るビジネスが徐々に普及しているのだ。
動画配信サービスのモデルの革命は誰が起こすか
動画配信サービスが大きく成長すれば、私達の生活が変わるだけでなく、TV局にとっても大きな利益となるだろう。とすれば、動画配信サービスの成功には、様々な立場から大きな期待をかけられていると言っていい。
「TVはタダ」「動画はタダ」が当たり前の環境で生活してきた私たち日本人が、納得し、有料でも使いたくなるようなサービスはどのようなものなのか。競争を繰り返し、進化していく動画配信サービスのこれからに注目したい。
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