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ロールモデルやメンターはいらない。昇進を後押しする「スポンサーシップ」のある働き方

Rio

2015/01/29(最終更新日:2015/01/29)


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 あなたが仕事を通して成長するためには何が必要だと思いますか? ロールモデルや、精神的な部分でアドバイスをくれるメンターなどを思い浮かべる方も多いことと思います。しかし、キャリア形成のためには、ロールモデルやメンターよりも「スポンサーシップ」が大切かもしれません。

 では、スポンサーシップのある働き方とは、一体どのようなものなのでしょうか?

メンタリングで大切なスポンサーシップ

 スポンサーシップとは、社員のスポンサーに就き、マンツーマンで指導して昇進を後押しする制度のこと。昇進や昇給の際に口添えをしたり、その人をポストに推薦したりします。海外では、人材のキャリア発達を支援する働きかけをメンタリングと呼び、メンタリングを行うメンターはその人のスポンサーとしても動きます。メンタリングの中でも、スポンサーシップは重要なポイントとされています。

 しかし、日本のメンターの場合、相手の悩みを聞いて精神的な部分での支えになるだけで、スポンサーまで行かないことも多いです。特に、女性のメンター(育成者)はメンティー(被育成者)が組織の上層部にいる率が低いため、その人を後押ししようという気持ちが低く、スポンサーシップを発揮出来ません。

なぜスポンサーシップが必要なのか?

 スポンサーシップは、フランスのビジネススクール「INSEAD」のハーミニア・イバラ教授によって提唱されている理論。メンターはメンティーの精神的部分を支援するだけではなく、その人の能力を認めて証言することで、メンティーがもっと効果的にキャリアを形成していくために働くべきだとしています。

 メンティーがキャリアを形成していくためには、能力を身に付ける努力はもちろん、責任ある仕事を任せる必要があります。責任ある仕事をやり遂げて、初めてそれがキャリアとして認められるようになるからです。

 しかし、実際に責任のある仕事をしたいと思っても、自薦ではなかなか能力ややる気を認めてもらえません。それが、信頼しているメンターに「あの人だったらできる」と推薦してもらえれば、上司も「君が推薦するなら」と責任ある仕事を任せてくれるかもしれません。

特に女性に必要なスポンサーシップ

 こうしたスポンサーシップは特に女性に必要です。女性の社会進出が進んだとはいえ、日本はまだまだ男社会で男性の管理職が圧倒的多数を占めています。女性の場合、実力があっても「女性である」ということだけでキャリアアップができないことすらあります。

 そんな社会で女性がキャリアアップをするためには、発言に影響力のあるメンターがいなければなりません。自分の実力を認め、周囲に宣伝してくれるようなメンターは、女性にこそ必要なのです。

 実際に、日本でも外資系企業でスポンサーシップ制度の導入が先行しています。フランスに本社があるアクサ生命保険では役員や営業局長が各自の担当部門から女性一人を選び、スポンサーとして1体1で育成、管理職に就任するまでを担っています。これまでに約40人の女性が同制度の対象となり、うち7人が昇進するという実績も。


 メリットの多いスポンサーシップ制度ですが、このように昇進を前提とした人材育成の仕組みを導入する場合、問題点やリスクも少なくありません。昇進のチャンスを与えられるのは一部の女性に限られるため、男性社員はもちろん、対象に選ばれなかった女性のモラル低下を招く恐れがあります。

 このようにまだまだ課題もあるスポンサーシップ制度ですが、今後課題を考慮しながら上手く導入されれば、より多くの女性の昇進の手助けとなることが期待できるでしょう。

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