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ジョブズの愛読書から禅の教えを覗く 『禅マインド ビギナーズ・マインド』

Manabu Kuramoto

2015/01/17(最終更新日:2015/01/17)


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ジョブズの愛読書から禅の教えを覗く 『禅マインド ビギナーズ・マインド』 1番目の画像
出典:pixabay.com

 怒り、悲しみ、不安……。考えすぎたり悩みすぎたりして疲れた心を軽くする力が禅にはあります。以前『心配事の9割は起こらない』という本をご紹介した際は、「妄想することなかれ」という意味の「莫妄想(まくもうぞう)」について取り上げました。

 あのスティーブ・ジョブズも禅に関する本を青春時代にむさぼり読み、深い影響を受けたと言います。ジョブズが読んだ本は、1959年に渡米し、サンフランシスコ禅センターを設立した鈴木俊隆氏のもの。いったいどのような内容だったのでしょう?

 ここでは、鈴木氏の著書の新訳完全版である『禅マインド ビギナーズ・マインド』という本から、世界中でも読まれている禅の教えの一部をお伝えします。

初心忘れるべからず

初心者の心には多くの可能性があります。しかし専門家といわれる人の心には、それはほとんどありません。

出典:鈴木俊隆 (2012)『禅マインド ビギナーズ・マインド』

 私達にある「初心」の心は、いつも豊かでそれ自体で満ち足りている状態です。著者は、その満ち足りている心の状態を失ってはならないと言います。初心を忘れなければ、常にどんなことも受け入れる用意はできていると言えるでしょう。

 逆に、何かを求めることが強すぎたり欲が強すぎたりすると、心は豊かで満ち足りた状態ではなくなってしまうことに。自分中心の思考がないとき、私達は本当の初心者になれ、このとき初めて何かを学ぶことができます。

心に波風を立てない

私たちは、人生のあらゆる局面を、大いなる心(ビッグ・マインド)の広がりとして喜んで迎えるので、過剰な喜びを求めません。そのため私たちは、いつもなにものにもわずらわされることはないのです。

出典:鈴木俊隆 (2012)『禅マインド ビギナーズ・マインド』

 どのような努力も修行のためにはよくありません。なぜなら、様々な感情・思考・イメージといった、あなた自身の心の波が起きるから。

 しかし、心の絶対の静寂を得るなんて、それこそ努力なしにはできません。大切なのは、努力をしながらも努力をしているという自分を忘れ去ること。心でも体でも、できる限り何の考えも得ようともせず最善の努力を続ければ、その時に何をしても、行ったことが真の修行となります。

今、この瞬間がすべて

「与えることは執着しないこと」です。つまり、何物にも執着しないということは、与えることなのです。

出典:鈴木俊隆 (2012)『禅マインド ビギナーズ・マインド』

 禅の教えによると、毎日毎日、自分が何をしたのかは忘れ、何か新しいことを行うことが「執着しない」ということになります。過去を知っても後悔する必要はなく、ただ振り返るだけで良いんです。そうすれば、これから何をしたらいいのかも分かってくるはず。

 未来は未来であり、過去は過去であり、今だけが新しいことをするときである。これが、私達の生き方として提示されています。


 いかがでしたでしょうか? 実行するのは難しいかもしれませんが、何事にも感情を切り離して取り組んでみることで、禅の教えに一歩近づくことができそうです。実際の本を手に取れば、ジョブズを理解することに繋がるかも。
 



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