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【会計士Xの裏帳簿】新相続税制スタート間近 東京への税理士大移動が始まる?

カイケイ・ネット

2015/01/20(最終更新日:2015/01/20)


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 来年1月からの相続税の基礎控除引き下げ、課税ベース拡大が迫ってきた。今まで、相続税の課税対象者は、相続発生全体の4%と言われていたが、改正後は6%くらいまで増加するのではないかと考えられている。

課税件数増加は都市圏に集中?

 会計業界で言い尽くされている話題だが、課税対象者が増えることで税理士業務が増えることは間違いない。税理士求人でも相続関連のものが増えている状況にあることは、お気づきの方が多いと思う。

 しかし、ここで考えておかなくてはならないのが、地域による課税対象者の増加数に濃淡があるということ。税制はもちろん全国一律に変わるものだが、そのインパクトは都市・地方、一様ではない。

 最も増加すると予想されるのは、やはり東京だろう。従来の課税対象者の割合も、東京は10%弱であると言われ、全国平均を上回っている。そして、予想に困難な面はあるが、改正後は、4、5人に1人、つまり20%から25%程度に増えるとの分析もある。

 「増加率」が他地域より高くなることは、相続税の対象とならないまでも比較的富裕である層に、厚みがあることを示している。これは、都市圏、あるいは都市勤務者のベッドタウンの実情を考えると、感覚的にも理解しやすいところだ。

富裕層の厚みが課税関係に反映

 主要税目について、今まで課税されていなかった層がまとめて課税対象となる事例は多くない。法人税で言うと、「今年度から赤字企業にも課税します」といったようなことは、今のところあまりない。

 経済状況が好転し、法人税の課税対象者が増えるといった間接的な事例と比べ、今回の改正は、税制により直接的、自動的に課税対象者が増えるタイプのもの。これが、相続税改正が大きなインパクトをもたらす理由だ。

税理士の都市集中が加速する?

 都市と地方で税理士数に違いがあることはよく知られている。東京の税理士は約2万1000人、大阪は約8200人、一方、鳥取県、島根県は100人台。これは人口、企業数など、経済・社会状況が関係していることは容易に想像がつく。

 アベノミクス関連で、市・地方格差の拡大が議論になっている。経済的な都市偏重が後押しされることで、法人税業務、そして都市圏の地価高騰により、相続税案件に影響を及ぼすと考えられる。

 そしてそれに加え、相続税の課税ベース拡大によって、直接的に、確実に、都市圏で発生する業務の件数が伸びることになる。税理士の都市集中に関しては、一般企業よりも加速感を持って進んでいくのかもしれない。


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