アラブの春の先駆けとなった「ジャスミン革命」の発生から4年。23年間続いていた独裁政権であるベンアリ政権が崩壊してから目立った動きがなかったが、今チュニジアが民主主義への一歩を踏み出そうとしている。
チュニジア、自由選挙で初の大統領が決定
昨年の12月31日、自由選挙で選ばれた初のチュニジア大統領としてガイドセブシ氏が就任した。ガイドセブシ氏は国民調和を目指し、順調にいけば1・2月頃には政権移行が完了する見通しだ。
ベンアリ独裁政権の行く末
ある成人男性の焼身自殺でその火が付いたジャスミン革命。そのころのチュニジアは、失業率が14%台と高く(日本は約4%台)、物価の高騰により食糧が買えない人が少なくなかった。結果、無許可販売等で金儲けをした末に失敗して自殺を図った男性のような者が発生し、政府がそれを厳しく取り締まったためにデモが発生、拡大していくことに。
そのデモのきっかけからも、ベンアリ政権時代のチュニジアは腐敗していたことが分かる。1987年に、無血クーデターで政権を掌握したベンアリ前大統領。就任当初は国民主権を唱え、民主的な姿勢がみられたものの、再選を重ねる度に独裁政権へと変化する。2009年に行なわれた大統領選までは国民から高い支持を集めていたが、その裏で国民の不満は増大していった。
民主化への期待、懸念も
そんな独裁政権が崩壊した後にいくつかの政権が発足したが、すべて暫定政権であり、今回のような自由選挙による大統領就任は初のことだ。そのため、国内外からの期待は高まる。
しかし、懸念も少なからず存在している。というのも、昨年10月に実施された議会選で既にガイドセブシ氏が党首を務める世俗政党ニダチュニスが第一党となることは決定しているが、議席が過半数に達していないため、連立政権を組む必要があるからだ。
さらに、ガイドセブシ氏が大統領と首相を兼任することになるため、権力の過度な集中も懸念材料だ。これからの組閣で集められるメンバーによっても政権の方向性が左右されるだろう。
国民の不満により一度政権が崩壊していることから、今後の政権は今まで以上に慎重に政治の舵を取る必要があるだろう。今後の政権の言動に注目が集まる。
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