警察庁は、昨年の交通事故による死者数を4113人だったと発表した。14年連続での減少となる。1990年代半ばには15000人ほどだった交通事故による死者は20年間で4分の1程度まで減少したことになる。
なぜ減少しているのか
2014年の交通事故による死者総数は、現在と同じ形で統計を取り始めて以降では三番目の少なさとなった。この要因としては飲酒運転の規制強化などが挙げられる。飲酒運転による死亡事故もまた、1993年をピークに2001年以来、14年連続で減少しているのだ。
その一方で、死者数に占める高齢者の割合は過去最高の53.3%だった。これは高齢者人口自体が増加していること、そして高齢者が事故に遭った際の致死率が、他の世代と比べて約6倍高いことが要因であると見られている。
高齢者は交通事故の被害者になりやすいだけではなく、当事者になるケースも多い。視力や判断力などの低下により、事故を起こしてしまうリスクが高まるのだ。進んでいく高齢化により、高齢者の交通事故は今後さらに増えていくことが予測される。現在、75歳以上の運転者が免許を更新する際には高齢者講習と呼ばれる運転講習を受けることが義務化されているが、これだけでは事故の増加を止めることは難しそうだ。
今後は新たな交通ルールの制定など、高齢化社会を前提に交通を考えなおすことが必要だ。
ワーストは12年連続で愛知県
都道府県別では、最も死亡事故が多かったのが愛知県で以降、神奈川県、千葉県と続いていく。愛知県は12年連続のワーストという不名誉を受けている。
このような事実から愛知県のドライバーはマナーが悪いとされ、「名古屋走り」などと揶揄されることもあるが、愛知県は言わずと知れたトヨタ自動車のお膝元で、自動車保有数も全国トップであることから、自動車一台あたりの死亡事故件数はさほど多くなく、一概にドライバーのマナーに原因があるとは言えないようだ。
愛知県は比較的道路の整備が進んでいることから、車のスピードが出しやすく、死亡事故が多いのではという説もある。
技術の進歩で自動車等の安全性は目に見えて向上している。2020年に東京オリンピックを迎える前に、世界一の高齢化社会として、高齢化に適応したルールやインフラ整備が求められているのかもしれない。
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