挑戦を続ける全てのビジネスマンに向けて、「失敗」について語り合うイベント「失敗力カンファレンス」が2014年12月19日(金)に開催された。
チャレンジには失敗がつきもの。成功談は数多くあれど、失敗談を聞くことができる機会は少ない。このイベントは、そうした失敗経験を成功者たちが語る珍しいコンセプトで行われている。
今回のセッションの登壇者は、クラウドワークス代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎氏とfreee株式会社代表取締役の佐々木大輔氏。華々しい上場のニュースが印象的なクラウドワークスを始め、失敗とは縁遠い2人に思えるが、実は数えきれないくらいの失敗をしているという。彼らは自らの失敗をどう受け取り、そこから何を学び取ったのだろうか?
起業家の「サラリーマン力」
吉田氏はクラウドワークスを立ち上げる前にも事業を起こした経験を持つが、一度は失敗して事業をたたんでいる。そんな吉田氏は、「起業家こそサラリーマン力を持つべき」と主張する。クラウドワークスを始めた当初、吉田氏はYJキャピタルの小澤隆生氏とサイバーエージェントの藤田晋氏の言うことに全て従った。その結果が、現在のクラウドワークスの成功に繋がっているそうだ。
起業家はどうしても自分の強い思いに引きずられてしまいがちだ。そのため、最終的には周りが見えなくなってしまうこともある。吉田氏は、「いっそ投資家を上司だと思って、全て従うくらいがちょうどいい」と当時を振り返った。
佐々木氏が強調したのは、ひとつのことに100%フォーカスすることの重要性。日本人にありがちな、努力で量をカバーするやり方ではなかなか成功できないと話している。
当時、GoogleでWebサイトの制作に携わっていた佐々木氏は、あらゆることをフォローしなければと思って手広く仕事をこなしたが、3か月かけても全く成果を残せなかったという。努力すれば全てのことを出来ると思わずに、とりあえず1つのことに注力することが成功への近道だ。
失敗を恐れる心とどう向き合う?
とはいえ、失敗は誰でも怖いものだ。それは成功者も同じ。吉田氏は失敗との向き合い方で大切なのは、最も重要なことを1つ決め、それ以外は全て捨てることだという。一度目の事業の失敗に呆然としていたとき、以前関わっていた企業からお歳暮が届いた。
その時、人を喜ばせようとする気持ちにかつてないほどに感銘したのだという。それ以来、吉田氏の最も重要なことは人からの感謝の気持ちだ。だからこそクラウドワークス立ち上げ時の一日1000円生活も苦ではなかった。
一方で佐々木氏は、失敗を恐れる心こそ大切にすべきだと語った。「人が数字を入力しているのを見るだけで、ミスがありそうで怖い」と語る彼は、人間の失敗を0にすることはできないと考え、自動会計ソフトの「freee」を作り上げた。失敗を恐れる気持ちは、自分の努力ややり切る力を引き出してくれる。
「選択肢を消せる失敗」の積み重ねが大きな資産になる
もちろん失敗をしたとしても、そこから学べるものがなければ何も意味がない。学びになる失敗の方法もやはり、一つに絞ることだという。努力の対象を1つに絞ることで、つまずいた部分を振り返りやすいと吉田氏は語る。
大きな成功の裏には無数の失敗がある。佐々木氏は最後に「1つ1つの失敗を大きな資産にする」ことの大事さを語った。こうして失敗をきちんと積み重ねて前に一歩でも進み続けることができるかが、成功者とそれ以外の違いなのかもしれない。
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