HOMECareer Runners 選手と運営、2つの窓口になりたいんです――裏方業務に魅せられた、新米アメフト広報【後編】

選手と運営、2つの窓口になりたいんです――裏方業務に魅せられた、新米アメフト広報【後編】

Yudai Imamura

2015/02/05(最終更新日:2015/02/05)


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 学生時代、部活動での主務の経験から裏方の仕事の魅力を知った飯島沙織さん。NPO法人相模原ライズ・アスリート・クラブが運営するアメリカンフットボールチーム「ノジマ相模原ライズ」のスタッフとして働き始めた1年目、彼女は特にコミュニケーションの部分に難しさを感じたそうだ。

 事務局は、様々な相手とのやり取りが求められるポジション。飯島さんは、”現場”で活躍している選手達とのコミュニケーションを特に重要視していると言う。仕事内容や役職といった、立場の異なる人とやり取りすることは、スポーツに限らずどんなビジネスマンにも求められる。彼女の働き方から、円滑にコミュニケーションをとるためのヒントを見ていこう。




――事務局スタッフとして1年目、仕事のどのようなところに難しさを感じましたか?

 全てが手探り状態で、キャンペーンを実施してもこちらが予想していたリアクションが返ってこなかったり、ホームゲームの運営でもまったくスムーズにいかなかったり……毎日そういうことの繰り返しですね。自分の準備不足を痛感しました。

 それと、難しいと感じたのはコミュニケーション。事務局スタッフの仕事は選手やコーチだけでなく、リーグ事務局や自治体、ファンの方々等、コミュニケーションをとる相手がすごく多いんです。その間に入っての調整が難しいと思う反面、上手く事が進んだ時にはやりがいも感じているので、やりがいと難しさは隣り合わせのような感じです。


――ライズの一員として活動を始めた1年目、選手や監督、スタッフ達といった自分と立場の違う人と上手くコミュニケーションをとる際に心がけていたことはありますか?
 
 「事務局の飯島」を覚えてもらうことが大切だと考えていたので、時間があればとにかくグラウンドに顔を出すようにしました。すると次第に、何か困った時の窓口として情報が集まるようになってきたんです。

 そうなると、様々なニーズや問題点に気づくことができる。現場ではできない本音の話が、事務局にとっては大切なことも多いんです。そういう話ができる関係を作りたいと思っているので、いかにチームと事務局の間に自分が介入して上手く回していくか、ということを意識していました。これはこれからも継続していきたいですね。


――異なる立場の人と上手くコミュニケーションをとることは、スポーツに限らず多くのビジネスマンにも求められるはず。仕事内容や、役職が異なる相手に対しても円滑にコミュニケーションをとるために、工夫していたことはありますか?

 今年は試行錯誤の1年だったので、自分が起こした行動や取り組みに対して色んな立場の人に意見を聞くようにしていました。その人が何を重視しているのかといったパーソナリティだけでなく、注意点や次回の改善策などアドバイスをもらえるので、気づきも多くすごくプラスに働きましたね。

 また、コミュニケーションをとる時は相手がリラックスできる空間の中で、ということを心がけています。例えば以前の職場では、よく喫煙室で相手に話しかけていました。私はタバコを吸いませんが、喫煙者にとっては喫煙室が心を落ち着けられる場所。プライベートな話もできますし、そこで話した話が後々良い方向にいくこともありましたね。このように、”どこで”コミュニケーションをとるか気を配ることも大切だと思います。


――では、このお仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?

 やりがいは毎日感じていますね。事務局の仕事は、応援してくれるファンを増やし、選手のモチベーションが上がる空間を作り出すことです。例えば、今年のホームゲームで「スタジアムをチームカラーのオレンジで染めよう」というキャンペーンを実施したところ、あいにくの雨にもかかわらず、沢山のファンの方がスタジアムに足を運んでくれたんです。

 その光景を見て、選手達も「気合が入った」「絶対に勝ちたい」と強く思ったようでした。事務局の仕事はチームの勝利には反映しにくいものですが、応援してくれるファンの方でスタンドが埋まり、大声援が送られる場面を目にすることができた時にはやりがいを感じますね。


――最後に、現在のお仕事に対する考え方で、大切にしているものがあれば教えてください。

 「ピンチはチャンス」という言葉を大切にしています。どんなに苦しい状況でも、それを楽しんで乗り越えられたら、自分に返ってくるものも大きいだろうなと思うんです。だから、しんどいと思うことでもとりあえずやろう、と。逃げずに取り組めば、誰かが助けてくれるかもしれないし、なんとか乗り越えられるだろうと勝手に期待しているから、できないことがあってもあまりネガティブにならないんです。

 裏方の仕事では、一つ一つの仕事の積み重ねが大事。だから、まずは取り組んでみて、上手くいかなかった時に立ち止まって考える。そして反省を次に活かすようにしています。

飯島沙織(いいじま・さおり)さん プロフィール

NPO法人相模原ライズ・アスリート・クラブ クラブマネジャー
1983年生まれ。学生時代、早稲田大学庭球部で主務を経験したことから「スポーツチームの運営」に関心を持つ。一般企業に就職後、早稲田大学大学院に戻り研究を続ける中でライズの存在を知り、2014年より現職。市や自治体、リーグ等関係各所への対応をする傍ら、チームの広報としても活動中。

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