思いもよらぬ「衝動買い」は誰でも経験したことがあるでしょう。今は買わなくても良いと思いながらも身体はレジへ向かってしまう衝動、後々考えると不思議ですよね?
頭で考えているのに身体が勝手に動いてしまうと思いがちですが、脳波や神経科学の研究者であるデイビッド・ルイス氏によると、こういった欲求や行動はすべて脳が判断しているそうです。
そんなデイビッド氏の著書『買いたがる脳』では、脳科学の視点から人々の購買行動について詳しく分析されているので一部をご紹介します。
本のハイライト
脳をマーケティングする? 「ニューロマーケティング」とは
ビジネスに脳科学が応用されるようになったのは、1960年代に脳科学の研究が急速に発展したことが始まり。消費者の脳波を分析することで、効率的な販売戦略を立てられるようになりました。脳を分析してマーケティングを行うということから、「ニューロマーケティング」という名が付いたそうです。
「欲しい」だけでなく「必要」と考える「ウォンツニーズ」
なにかを「欲しい」と思い、その欲望が高まったとき「欲しい」に「必要だ」が加わることを「ウォンツニーズ」と言います。そして、「ウォンツニーズ」は広告やテレビなどによって意図的に作り出すことができるそうです。
具体的な方法としては、消費者に対して稀少性、楽しさ、購入後の経験などをイメージしやすいように促すというもの。このようにして生まれた「ウォンツニーズ」は脳波を分析することで明らかになり、「ウォンツニーズ」が一番高まっているものが一番欲しい物となります。
衝動買いをする時の脳のプロセス
衝動買いをするときの脳はどのような思考のプロセスがあるのでしょうか。実は、驚くほど効率的かつシンプルな思考をしていました。それは、「無意識の購入判断」を経て「カテゴリー化」して「経験則に基づく判断」をするというもの。
通常の買い物は、大脳皮質(論理的な思考をする部分)で判断を行っています。しかし、衝動買いを行うときは大脳皮質ではなく大脳辺緑系(感情、意欲を司る部分)で自動的に判断しているそうです。大脳辺緑系は大脳皮質に比べて素早い処理を行っているというのも、衝動買いにおける脳の働きとして注目すべき点なのではないでしょうか。
「経験のきっかけ」さえ提供すれば、いとも簡単に売れる
ECサイトでは買わないと判断した商品でも、外出先ではつい衝動買いしてしまうといった経験はありますか? 著者によると、消費者は商品そのものの魅力よりも楽しい経験に大きく影響されて購入決定をしてしまうそうです。
その代表例が、ショッピングモール。商品のジャンル別にならぶ店舗や入店したときのBGM、店内の景観、スタッフの丁寧な接客など、ショッピングモールには消費者が楽しいと感じる要素が豊富にあります。近年は、消費者の経験に意図的に訴えかけられるように計算されているそうです。
脳は買い物の仕方によって使う部位が異なり、感情面に訴えかけられたとき衝動買いをしてしまうということがわかりました。今回、『買いたがる脳』から脳科学の視点で購買行動の分析をご紹介しましたが、この本には心理学、行動経済学からも分析されており非常に興味深いです。気になった方は、ぜひ手に取ってみては?
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう