日本では「若者のクルマ離れ」が進んでいると言われるが、グローバルに見てもこの流れは同じようだ。若者の自動車保有に対する欲求は年々下がっている。そんな中、フランス・パリでは、市がボレロ・グループに事業運営を委託した「Autolib」という電気自動車のシェアリングサービスが市民権を得ている。
行政主導のカーシェアリング
このAutolibというカーシェアリング事業の最大の特徴は、パリ市が主導しているということだろう。パリ市長、ベルトラン・ドゥラノ氏は「ニーズや状況に応じた移動方法の選択肢を増やすことは、“Modern city” の義務だ」と事業開始時の挨拶で述べている。
自治体が積極的にカーシェアリング事業を推し進めたことによって、Autolibのステーションはパリ市内を中心に多数配置されることになった。その結果、利用を開始したステーション以外に車を返却する「乗り捨て」が容易になり、その便利さから利用者が増えたということが考えられるだろう。
この「乗り捨て」が可能になったという事実は大きい。これまで車は一家に一台、車で出かけたら目的地まで車で行き、車で帰ってくるのが当たり前だった。しかし、カーシェアリングの発展で、車は必要な時に必要なだけ乗る、まるで公共交通機関のような存在になる。
事実、パリでは車を保有せずとも移動手段として便利に利用できる環境が整いつつある。
日本におけるカーシェアリング
日本でもカーシェアリング事業は徐々に広がっている。黄色い看板でお馴染みの時間貸駐車場を経営しているタイムズ24は、「タイムズカープラス」というカーシェアリングサービスを展開しており、その会員数・ステーション数・車の台数において国内トップだ。
タイムズカープラスも、自治体との連携には積極的だ。例えば、2010年7月〜12月には福岡市の市庁用電気自動車を土日に無料で市民に貸し出すEVカーシェアリング事業を実施し、実際に体験できる機会を増やすことでカーシェアリングの早期定着を図っている。
しかし、日本のカーシェアリングでは「乗り捨て」サービスは実現していない。これは、車両を借りた場所と違う駐車場に停めるということが車庫法に抵触する恐れがあるとして避けられてきたからだ。日本のカーシェアリングが「利便性の高いレンタカー」程度にしか考えられていないのもこのためだろう。
その状況も変わりつつある。2014年の国土交通省の通達で、車両に関する情報を的確に把握することが可能であれば乗り捨て方式のカーシェアリングが認められることとなった。
実施は同年9月1日からのため、まだ始まったばかり。ここから日本のカーシェアリングは動き始める。
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