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激動する自動車:スバリストが支える自動車産業の異彩、アメリカでも愛される「スバルらしさ」

Rio

2015/02/25(最終更新日:2015/02/25)


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by Dale Gillard

 アベノミクス効果で進む円安。自動車業界ではトヨタの快進撃が話題を独占している。しかし、自動車産業の将来は楽観視できない。若者の自動車離れはいまやグローバルなトレンドだという。

 自動車産業の中でも、異彩を放つ企業がある。戦前の航空機メーカーに源流を持つ富士重工業だ。「スバル」のブランド名の方がイメージしやすい人は多いかもしれない。

 さほど車に興味がない人にとって地味な存在に思えるこの「スバル」だが、異色の戦略で確固たる地位を築きつつある。米市場では2014年度の販売台数が史上最高になることが確定し、10月末には経常利益予想を12%上方修正するなど、その好調ぶりが伺える。

異彩、スバルの躍進

 販売台数は業界最下位だ。売上高は2013年度実績で約2.4兆円で、トップのトヨタ自動車の10分の1ほどしかない。それでも、2009年の売上約1.4兆円から4年間で70%以上売上を伸ばしたことになる。

 そんな快進撃を象徴するかのように、今スバル車は品薄の状態が続いている。平均すると在庫数が平時の半分程度まで少なくなり、納車に要する時間も伸びている。

 さらにスバルは、営業利益率13.6%でトヨタ自動車(同8.9%)を遥かに引き離す。この数字は業界トップだ。業界最下位の企業が売上の伸びでも利益率でも他社を大きく引き離す好調ぶり。その秘密はどこにあるのだろうか。

スバリストが支える「安心で愉しい車」

 スバルを支えたのは「スバリスト」と呼ばれるスバルの熱狂的ファンだった。

 10年ほど前までは利益率5%にも満たない、何かあればすぐに赤字に転落してしまいそうな会社だったスバル。しかし、技術に強みを持つスバルには愛される車が多かった。

販売台数だけを増やすのではない

 国内では景気の停滞感や、エコカーなどの登場により、車を愉しむという感覚は薄れてしまっている。同時に各社の製品のラインナップも変化した。それは、車好きにとってはどこか物足りなさを感じるものだったに違いない。

 今のスバルの好調は、愉しめる車へニーズが回帰したことに、円安の要素が加わり花開いた結果といえるだろう。

 スバルは好調を伝える中で「むやみに販売台数だけを増やそうとは考えていない」と明言した。それは、スバルのブランドコンセプトである「安心と愉しさ」を追求し、スバリストの期待に応え続けることの意思表明とも思える。

堅実な経営とチャレンジ精神

 だからこそ、スバルは堅実な経営を続ける。生産計画の引き上げや、設備投資などは慎重に意思決定している。多くの場合、比較的緩やかに行うことが多い印象だ。

 一方で車に関してはチャレンジ精神を忘れない。高い技術力を背景に、守りにはいらず、こだわり抜いたクルマづくりを続けている。日本車で唯一米10ベストエンジンを受賞したWRXの新型車や、その安全性能で他社の追随をゆるさない自動ブレーキシステム「アイサイト」などはその賜物だ。

 そうしたスバルらしいクルマづくりは海外でも受け入れられ、2009年に20万台に届かなかったアメリカでの販売台数も、2014年には44万台と2倍以上に達し、2015年3月期はこれをさらに上回る見通しだ。


 ハイブリッドカーや電気自動車などが注目される今、車に乗る愉しみはどんどん薄れつつある。そんな状況をものともせず、スバルらしいクルマをつくり続けてくれる。そんな期待感が今のスバルにはある。


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