2013年12月にユネスコの「食の無形文化遺産」に登録された、日本が世界に誇る食文化「和食」。これまでに登録されているフランス料理、地中海料理、メキシコ料理、トルコのケシケシに続き、5つ目の登録になる。しかしこの「食の無形文化遺産」とは、一体どういうものなのか。
歴史や風土に密接に関わる「食文化」を評価
食がもたらす社会的慣習、伝統、行事、儀式、それらに関わる知識や技術。これらが守り育んできた「食文化」を評価するのが、ユネスコの認める「食の無形文化遺産」だ。
いかに食と社会・生活との関わりがあるかが評価のカギとなり、味の美味しさや栄養の豊富さだけに目を向けるのではなく、食が創る「文化」や「社会」を後世へ伝えていくという目的があるという。
5つの「食の無形文化遺産」
フランスの美食術
出典:hiro-latelier.on.omisenomikata.jp 結婚や誕生日などの人生における大切な記念日や出来事を祝うための社会的慣習。前菜からデザートに至る食材やワインとの組み合わせ方、フルコース料理に見られる順番などの知識やノウハウ、マナーが徹底されたフランス料理。
華やかな見た目や繊細な味だけでなく、グルメの国にふさわしい「美食術」は、そのすべてが文化と言っても過言ではない。
地中海料理(スペイン、イタリア、ギリシア、モロッコ)
出典:cpstyle.jp 地中海で栽培されるオリーブオイルの上質な油脂、肉や魚介類から野菜類までバランス良く摂取する地中海料理のスタイル。
ワイン片手に、ほろ酔い気分でゆったりと家族や友人と食卓を囲むのが陽気な彼らの食事風景。地中海を中心とした食品の生産、加工、消費とそれに伴う食事がもたらす食の慣習が地中海料理の魅力だ。
メキシコ料理の伝統料理
出典:saopaulo.lifea.biz メキシコ料理は古く7000年前から口承で伝えられていること、環境と共存した伝統農法や儀式、祭礼の文化が今なお続いているなど、伝統が色濃く残る食文化。
サルサにイメージされる唐辛子の他に豆、とうもろこしの3つを基本とし、多彩な料理があるメキシコ料理。日本人に馴染みのタコス以外にも美味しい料理はたくさんあるので、ぜひ食べてみてほしい。
トルコ料理のケシケキ
出典:food-trip.hatenablog.com 世界三大料理のひとつ、トルコ料理の中から選出された伝統料理「ケシケキ」とは、トルコの多くの地域で食べられている麦粥のこと。結婚式や雨乞いなどの儀式に振舞われる料理で、歌を歌いながら麦を脱穀し、すりつぶすユニークな調理法そのものが文化遺産として認められた。
すりつぶされた肉から出た旨みが麦と絡み、味付けのバター、唐辛子やトマトペーストが合わさって腹持ちと美味しさのある料理となっている。
日本の和食
出典:www.kitaohji.co.jp そして最後に紹介するのは、日本が世界に誇る食文化「和食」。四季折々の自然の美しさや移ろいを表現した、多様で新鮮な食材を生かした料理。海外でも高く評価される健康的な食生活が文化遺産に選ばれた理由。
行事ごとに様々な和の料理が振る舞われ、季節の移り変わりを感じさせる。その芸術的で繊細な見た目もまた、日本人らしいと評価されたのかもしれない。
味わいだけでなく、時代を担う文化としての役割を評価する「食の無形文化遺産」。時代や文化背景を知ればより一層、食事は楽しくなるはず。ぜひ、あなたも5つの「食の無形文化遺産」を体験してみてはいかがだろうか。
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