あなたには、これまで仕事以外で夢中になれたものはあっただろうか。何かに必死に取り組むことで得た経験は、仕事においてあなたを支える”強み”となる。「自分の強みがわからない……」という方は、これまでの人生で自身が取り組んできたことを振り返ってみよう。その中に、ヒントがあるはずだ。
今回のインタビューの相手は、株式会社シンクスマイルの中村彩羅さん。学生時代、ビーチバレーの選手として大学日本一の座にまで上り詰めたという彼女は、その経験から何を学び、それを仕事にどう活かしているのだろうか。
――長年ビーチバレーを競技として続け、大会でも好成績を収められた中村さん。プロとしてプレーを続けようとは思わなかったのですか?
プロになって、日本代表として世界で戦うのは実力的に難しいと感じました。でも、「日本一」になら働きながらでもなれると思ったんです。
――では、現在のお仕事を選んだきっかけは?
元々、営業志望だったんです。それは、ビーチバレーのおかげでコミュニケーション能力に自信がついたから。大学のビーチバレー部では一期生だったので、頼れる先輩もいなかった。だから、よく外部の社会人の方に試合やペアを申し込んでいたんです。そうやって自分からどんどん仕掛けていく中で、コミュニケーション能力が身についたなと思っています。
新入社員だったらまずは営業だろうと思っていたので、自分の強みであるコミュニケーション能力を、まずは営業職で活かしていこうと考えました。
――長年やってきたビーチバレーで培った経験が、現在のお仕事に活かされていると感じたことはありますか?
ビーチバレーって、プロやスタッフ陣だけでなく、学生や、仕事と両立させている人など、本当に色んな人がやっているんです。目標やモチベーションも違う彼らの話を聞くだけで、今までの自分にはない価値観を知ることができる。仕事に向き合う姿勢を見直すきっかけになることもありました。
あと、ビーチバレーは「類推力」を鍛えるのに優れているそうなんです。ビーチバレーの会場は風も吹いていて足場も悪い上に、選手は二人きり。だから、「ここにボールを上げたら、ペアの人はこういう風に入ってきてここにボールを上げるだろうから、私はここに動く」と。瞬時に考える力や、相手が次にどう動くかを仮定して動く力が養われるんです。
これは、現在の営業の仕事にも活きていると感じています。例えば、お客様と話していて「上手く相手とやり取りできていない」と感じる場面。そんな時は「どのやり方が合うかな」と、自分の中にある話し方のパターンを色々試すようにしています。その中で、話のテンポが合っていないのか、それともお客様の言おうとしていることを私が汲み取れていないのか、などの阻害要因を素早く検証するようにしていますね。
――また、日々の業務で成果を挙げるために必要な「PDCAサイクル」も、中村さんはビーチバレーをする中で培われたそうですね?
ビーチバレーって、試合中は監督からアドバイスを受けることができないんですよ。だから、状況によって戦術を変えるなど、勝つための方法を全て2人で考え、動かないといけない。「試合で勝つためにはこういう練習も必要だよね」と、練習メニューも全て自分達で決めていましたね。その中で、PDCAを回す習慣も自然と身につきました。
社会人になって強く意識するようになったのは、一つ一つの行動をきちんと振り返ることですね。上手くいかない時はどういう状態なのかを自分でちゃんと振り返って、そこからまたアクションプランを立てて、自分でPDCAを回すようにしています。
――現在も、仕事を続けながら大会などへ出場されるそうですね。仕事をしながらプライベートで趣味を充実させることで、好影響は生まれていますか?
私は、「仕事が充実していないとプライベートも充実しない」と考えています。仕事が上手くいかずに課題を抱えてしまうと、休日にも引きずってしまうんですよね。だから、プライベートを楽しむためには仕事も頑張らないといけないし、仕事で上手くいっているからプライベートも充実すると思うんです。
でも、休日は趣味などに夢中になれる時間とは別に、ゆっくりする時間も必要だと思うんです。1日がむしゃらに楽しんだとしたら、その日の夜とか日曜日には、自分と向き合って振り返る時間がないと、月曜日からの仕事に向けて頭をリセットできない。私の場合は、ビーチバレーを思い切りやる、思い切りやった後にお酒を飲んで皆とワイワイやって、でも日曜日はゆっくり過ごす。これが、一番私の上手くいくやり方です。(続く)
中村彩羅(なかむら・さいら)さん プロフィール
1990年生まれ。2013年、株式会社シンクスマイルへ新卒入社。サービス関連企業に対して販売促進ツールの新規開拓営業を行う。2年目の2014年10月、社内MVPを受賞。学生時代はビーチバレーの選手として、数多くの大会に出場。全国大会優勝の経験も持つ。
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