猛威をふるうエボラ出血熱。高い致死率や多くの死者数ばかり報じられているが、その影響は経済にも及んでいる。今月五日に開かれた国連経済社会理事会の特別会合では、西アフリカ諸国がエボラ出血熱の流行による経済被害に対する支援の必要性を訴えた。
西アフリカ諸国では経済にどういった影響が及んでいるか
感染が広まっている国では、生活インフラとして大きな役割を果たす輸送業者がサービスを停止している。輸送業者が機能しないことにより、物品の移動が滞ってしまい、正常な経済活動を行うことができないという状況だ。この他にも正常に機能させることができない経済活動は数多くあり、連鎖的な悪循環に陥っている。
例えば、シエラレオネではエボラ出血熱の流行により国内総生産(GDP)が最大で4%落ち込むと予想されており、感染の確認がされている同国東部でのダイヤモンド採掘業者が業務遂行を拒むなどといったことが問題となっている。
また多くの外資系企業は社員を自国に帰らせるなどの対策をとっており、人材不足も顕在化している。こういった状況に対して国連のパン・ギムン事務総長も「経済再建に取り組むことが不可欠」と国際社会に支援を求めている。
各国の支援は?
こういった状況に対して世界銀行は、とくに被害の大きい三カ国(リベリア、シエラレオネ、ギニア)に対して2億3000万ドルの支援を決定している。しかしながら、その他の感染国への経済支援は感染拡大の対策に向けて行われているものが大半であり、経済地盤への支援は後回しになっているのが現状だ。
単純に比較できるものではないかもしれないが、これまでのエボラ出血熱による経済的損失は約4000億円と言われており、これは西アフリカのGDPの4.4%に上る。東日本大震災の被害額が17兆円であり日本のGDPの3.6%に相当することを考えると、その被害のほどが見てとれるだろう。エボラ出血熱は感染リスクという面以外でも未だ猛威を振るっている。
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