「仕事で大事なのは現場だ!」そんな主張を耳にしたことがある方は多いのでは?
早稲田大学ビジネススクールで経営戦略論を教えつつ経営コンサルタントとして活躍する遠藤功氏も、「非凡な現場」を作ることが競争で優位になることに繋がると言っています。
では、そこで言われている「現場」とは一体どんなところで、その能力、「現場力」とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、遠藤氏の著書『現場論:「非凡な現場」をつくる論理と実践』から、現場とその組織としての能力について見ていきます。
現場とは何か
遠藤氏は、「現場」をその概念・目的・役割・特性から、以下のように定義しています。
概念…現場とは、過去から未来に向かって進行する中の「いま・ここ」である。
目的…現場の目的は、価値創造を実行することである。
役割…価値創造に必要な業務を日々遂行し、人材を育てるのが現場の役割である。
特性…「人のかたまり」であるために、可能性が大きい一方でリスクもある。
常に変化している「現場」をコントロールすることは容易ではありません。だからこそ、この「現場」の持つ組織としての能力を高める事が他者と差をつけることに繋がるそう。
「現場力」を構成する3つの能力
遠藤氏によれば、「現場力」という組織能力は、①保つ能力②よりよくする能力③新しいものを生み出す能力の3つによる「重層構造」になっているそう。ここで、それぞれ紹介をしていきます。
①保つ能力
これは、決められた業務を確実に遂行し、決められた価値を安定的に生み出すという、当たり前のことを当たり前に行う能力のことを指します。
ここでは、目標を定める「標準コスト」や、納期を定める「標準納期」などの、業務遂行に必要な「標準」を明文化し、周知を徹底して確実に実現できる能力を磨くことが大切です。
「誰でもできる」という標準化を確立することで「わたししかできない」を減らし、生産性を上げることができるそう。
②よりよくする能力
現場力をさらに高めるためには、現状の維持だけでなく、「よりよくする能力」を磨く必要があります。この、日々改善するという能力が、組織力の中核となっているそう。
改善とは、本来一時的なものではなく継続して行われるものです。この継続性にこそ差別性があると遠藤氏は言います。
③新しいものを生み出す能力
現場での「気づき」を活かし、新しい価値を生み出す革新的な取り組みを行うのがこの能力です。新たな商品やサービスだけでなく、コンセプトにまで影響を与える力が現場にはあるそう。
これらの3つの能力は、①がなければ②は蓄積されず、それと同様に②がなければ③の能力をつけることはできません。そのため、組織力は一気に高めるというよりも、地道な進歩を重ねていくものだと言えます。
今回は、企業を支える組織能力、「現場力」について学んでいきました。本書を、皆さんの会社の「現場力」を高める一助としてみてはいかがでしょうか。
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