街中のカフェを、ただコーヒーを飲むだけでなく仕事や読書、勉強などのために利用している人は多いのではないでしょうか。常連になると、カフェを通して新たな出会いがあることも楽しみの1つ。
原宿を代表するカフェ「ワイヤードカフェ原宿」を生み出した入川ひでと氏によると、カフェは飲食店の枠を越えて、地域のコミュニケーションの場としての役割も担っているようです。
今回は、その入川氏の著書である『カフェが街をつくる』という本で、カフェプロデュースという視点から、カフェと街の密接な関係を紐解いていきましょう。
カフェは単なる飲食店ではなく、人の活動の拠点になる
人々が活動する拠点として家や職場などが挙げられますが、著者は第三の拠点としてカフェを挙げています。具体的には、スポーツなど趣味のメンバーが集まったり、カフェから地域の情報を発信されたりすることから、地域密着型の活動拠点になっているというものです。
では、地域の人に受け入れられながらも、新しい顧客を生むカフェ作りのためには、どういった工夫が必要なのでしょうか。
その街の歴史や、建物の背景を活かす
特定の地域に新しい施設がオープンすると、昔からある商店の経営が困難になり「シャッター街」と呼ばれる閑散とした状態に陥る事例がいくつかあります。地域の拠点を作るはずが、地域が寂れてしまってはどうしようもありません。
そのため著者は、街の歴史や、建物の背景を活かしたカフェ作りを心がけているそうです。すると、顧客にとっても居心地の良い空間を作ることができます。
ヨーロッパの都市が、歴史的建造物の景観を保護するために新しいビルを立てることを規制していることは有名ですよね。それでも、新しい文化は生まれ続けていることからも街そのものを大切にすることの重要さが伺えるでしょう。
渋谷区のキャットストリートでは、サブカルチャーに特化したカフェが成功
本の中で、渋谷区のキャットストリートにカフェを作る機会を得たときのエピソードがあります。当時のキャットストリートは現在ほど賑やかなものではなく、人通りの少ない場所だったそうです。
そこで、どのような人がキャットストリートを訪れるのかを観察したところ、渋谷の駅前やセンター街に居る若者にくらべ、個性的で尖ったファッションセンスをしている若者が多く居ることがわかりました。アパレル関係者や、ストリート、サブカルチャー文化を好む若者などです。
そういった若者のニーズを満たすべく、彼らの感性にマッチしたカフェを作ったところ、たった15席のカフェにもかかわらず大繁盛したそうです。街の雰囲気や、利用する人々の嗜好を読み解くことが、顧客にとって居心地の良いカフェ作りだということがわかりました。
入川氏の著書である『カフェが街をつくる』には、今回ご紹介した地域や文化に関するカフェ作りの考察だけでなく、さまざまな地域ごとの具体例や第三の拠点としての機能に関する分析がされています。気になった方は、ぜひ手にとってみては?
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