一般的に「多くの人を率いるリーダー」というと、元気よく周りを引っ張っていく人や、カリスマ性のある人を思い浮かべるのではないか。しかし今注目されているのは、それらのリーダー像からは少し離れたリーダー像だ。「コンパッショネイトリーダー」。聞きなれない言葉だが、今後の組織を引っ張っていくのは、この「コンパッショネイトリーダー」と呼ばれるような人たちかもしれない。
次世代のリーダー「コンパッショネイトリーダー」とは
コンパッショネイトリーダーとは、株式会社コミュニカの山元賢治氏が提唱している次世代のリーダー像である。「コンパッショネイト」という言葉の意味は「思いやり」や「優しさ」。コンパッショネイトリーダーとは、「フォロワーに対して思いやりを持って接していくリーダー」のことだという。
今までのリーダーが「ビジョンを掲げること」「決断力」など、周りを牽引していくような素質が必要とされていたのに対し、フォロワーの気持ちを察するような素質が求められているのが特徴的である。
なぜ今、リーダーに「思いやり」が求められるのか
今、コンパッショネイトリーダーが求められる理由は大きく分けて2つある。
希薄になっている人間関係に働きかける人物が必要
近年、私達の生活において、仕事ではPCに向かう時間が増え、プライベートではSNSでのやりとりが増えた。それによって、人と直接向き合ってコミュニケーションをとる機会が減り、人間関係が希薄になっていることが危惧されている。
そのような状況の中で、直接的な人間関係に働きかけることができる「思いやり」や「やさしさ」を持ったリーダーが必要とされている。
技術の進化に合わせて高まる「やさしさ」の価値
優しさや思いやりが必要なのは、チーム内だけではない。技術の進化によって業務の効率化や組織の活性化などを可能にする仕組みをつくれるようになったとしても、それを実施する上で適切なコミュニケーションが成立していなければ効果は発揮できないのである。
技術が進化すればするほど、その技術の効果を高める「思いやり」や「優しさ」といった、人の心に訴えかけるコミュニケーションをとれる人物が必要になってくるのだ。
コンパッショネイトリーダーはチームを活気づける
「思いやり」や「やさしさ」を意識してリーダーシップをとることには大きく分けて2つの利点がある。
チーム内のリスクに早く気づくことができる。
部下に声をかけ、気遣い、思いやりを心がければ、部下のモチベーションの低下や、チーム内の空気の変化に早急に気づくことができる。また、チームのリスクに早期に対応することも可能だ。
部下がイキイキと働ける環境をつくりやすくなる。
リーダーが部下の気持ちを気遣いながらコミュニケーションを取ることで、親密な関係性を築ける。親密な関係性の下で、部下は自分らしくイキイキと働くことが出来るだろう。
決して難しくはない「コンパッショネイトリーダーへの道」
今までと違うリーダーだからと言って、コンパッショネイトリーダーになることは難しいことではない。
すぐにでも部下の表情から気持ちを推し量ってみたり、部下には積極的に話しかけてみたりするなど、些細な事でフォロワーに「思いやり」「優しさ」を示すことは可能だ。いつも声をかけるか迷う相手に思い切って声をかけてみる、といった事から始めるのも良いだろう。
コンパッショネイトリーダーになるために大事なのは「周りへの好奇心」。これは、何か習得に時間がかかるような特別なスキルではない。少しの意識ですぐに、コンパッショネイトリーダーへの道は開かれていくだろう。
リーダーシップにおいてなかなか注目されることがなかった「思いやり」や「やさしさ」。しかしこれからの時代において、思いやりを持ったコンパッショネイトリーダーはますます注目を集める可能性が高い。今まで牽引型のリーダーシップを発揮してきた人も、「コンパッショネイトリーダー」から学ぶべき点は大いにあるのではないだろうか?
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