ロボット技術が人の仕事を奪っていく。キャリアに安定や安心を与えていた制度がなくなっていく。このような変化はいまや、未来のものではない。現実に、わたしたちの身近に起こっている変化である。
そしてそれに伴い、リンダ・グラットン『ワーク・シフト』が世界的なベストセラーになるなど、世界中で「働き方」についての意識が高まっている。もちろん日本も例外ではない。
変化の背景にある、不安
「働く」に対する意識の高まりは、キャリアの不安定化が背景にある。いままで安全・安定だと思っていたキャリアも、「今やどうなるかわからない」。そんな風に思う人も少なくないだろう。
実際、ビジネスマンの中でも、自分の職業生活について不安を持つ者はかなり多い。
働き方の変化も、その不安からか、「スキルアップ」「成長」できる環境を求めるもの、転職を前提に職業生活をデザインしようとするものが多い。しかし、この変化は人々に仕事に対する考え方の変化の表れでもある。
変わる若者たちの「仕事観」
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの研究開発部門、組織行動研究所は25~34歳の男性正社員を対象とし、「若手ホワイトカラー男性のキャリア意識・行動に関する調査」を実施。その調査の中で大きく3つの変化が起こっていることを明らかにした。
トーキョーよりも、地方・海外へ
現在、以前はいなかった「地域貢献」「リモートワーク」を理由とした「Uターン・Iターン希望者」は倍増している。また、「どんな国・地域でも働きたい」という若者も増えており、海外への意識の高さがうかがえる。
組織を脱出して、自由なキャリアを歩いて行こう
調査の中で、「組織にしばられずに、自由に仕事をしたい」と答えたのは約70%。独立(フリーランス)を希望した人は3倍にも増えている。
欲しいのはお金でも、出世でもない。
勿論、働く理由として「お金」の問題を挙げる人はまだまだ多い。しかし近年、金銭的報酬以外を仕事の対価として求めている人が増えている。また、「競争社会を勝ち抜いて出世したい」というよりも、「自分なりの幸せを目指したい」という人が2倍にもなっている。
一般的なキャリアを歩んでいれば定年まで安心して働ける環境が崩れてきた中で、自分の働きたい「場所」や「所属」、そして手に入れたい「対価」を見直し、会社に縛られないスキルを手に入れることを前提として、よりそれらに比重をおいたキャリアを望む人が増えていることがわかる。
変化の波を受け止めて、どんな未来を選びますか
「働く環境」の変化。それに伴い訪れた「働き方への価値観」の変化。一見、不安定な未来に見えるかもしれないが、見方を変えてみれば自由な働き方ができる社会に変化しているとも言えるかもしれない。
制度による安定が崩れ去り、多くの人がスキルアップや有益な経験を求めて働くようになれば、みんながイキイキと働く社会が訪れるはずだ。
日々変わっていく環境の中で、あなたは何のために働き、何を得たいのか。一度、深く考えてみてはどうだろう。
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