事情を汲み、円滑に仕事を行えるようにチーム内を整える「調整役」。
会社において調整役は、それぞれのメンバーが力を100%発揮するための「良いチームワーク」を構築してくれる要人である。
では、調整役は良いチームワークを築くためにどんな仕事をすればいいのだろうか?
チームの潤滑油となる「調整役」が果たすべき3つの役割について紹介していきたい。
仕事で「調整役」が必要とされる理由
チームにおいて調整役が果たすべき役割について説明する前に、まずはビジネスシーンにおいて調整役が必要とされる理由について触れておきたい。
チームの潤滑油のような存在である調整役は、何故必要なのだろうか?
「調整役」とはリーダーとメンバーをつなぐ“潤滑油のような存在”
日本有数の多角的事業会社「オリックス株式会社」のシニア・チェアマンである宮内義彦氏は、プロ野球の観点からチームについて以下のように分析している。
チームで仕事をする際、チームのブレーンとなる優秀なメンバーやリーダー的な存在はもちろん必要になる。
しかし、個々が秀でていたとしても、メンバーが違う方向を向いていたり、チーム内の連携がうまくいかなかったりするとチームとしてのパフォーマンスは半減してしまう。
そこで重宝されるのが。リーダーとメンバーの意見を上手くすり合わせたり、チームメンバーの事情などを汲み取ったりする、チームの潤滑油の役割を果たす調整役だ。
調整役の主な役割としては、以下のようなことが挙げられる。
(例)仕事における「調整役」の主な役割
- 凹んでいるメンバーのフォロー
- リーダーに適切な選択肢を示す
- メンバーのマネジメント
「調整役」が人と組織をエンジニアリングして、正しい方向に導く
直接的に仕事の成果に結びつくことではないが、調整役は「人」にとっての“エンジニア”である。
ましてや人間は、ロボットやプログラムのように無感情ではない。通り一遍の上っ面な言葉で操作できるほど、簡単ではないのだ。
そのため、人間の特性を理解し、さまざまな事情を汲んでチームメンバーの気持ちや環境を整えていく調整役は、「チーム」「組織」に欠かせない人物といえるだろう。
チームの調整役に求められる3つの要素
チームで調整役をこなすには広い視野を持ち、チーム全体をよく見渡すスキルが必要だ。
チーム全体を見渡すために必要な要素を「目配り」「気配り」「心配り」の3つに分けて紹介していこう。
チームの調整役に求められる要素①:観察して相手を理解する「目配り」
目配りとは、周囲の人の行動を観察することだ。
自分のことに集中すると人のことが見えなくなる、というのはよくあること。
しかし、それでは周囲の人が何を考え、どう行動しているのかという情報が一切入ってこない。
目配りをすると、今まで見えていなかった一人ひとりの考えが見えてくる。
自分とは違う意見を持っている人が、なぜそう考えるのかを理解することができれば状況を適切に判断できるようになり、自分のとるべき行動がより明確になるのだ。
チームの調整役に求められる要素②:発生しうる問題を予測し、行動する「気配り」
ここでいう気配りとは、チームの中で発生しうる問題を予想して事前に対処すること。
対応が遅れそうな部分、思うように結果が出ないことに対して善後策を打っておける調整役が居たとしよう。
そんな調整役がチームに一人でもいれば、たとえ問題が発生しても被害が大きくなる前に修正することができる。
チームの調整役に求められる要素③:チームのモチベーションをあげる「心配り」
心配りとは、チームのモチベーションを高めるように行動すること。
例えば、リーダーとメンバーの意見が合わず、互いに衝突してしまったとしよう。
こんなとき、チームのモチベーションは下がってしまいがちだ。しかし、これは単にお互いの意図が伝わっていないだけの可能性がある。
そのときに、調整役がメンバーとリーダー双方の意見を聞いて橋渡しをして、お互いの考えを理解し合えるように調整してみよう。
お互いの意見や状況をきちんと理解することで、チームメンバーのモチベーションを取り戻すことができる可能性がある。
このように、調整役はリーダーにとっては「背中を任せられる相手」、メンバーにとっては「頼れる存在」になることで、リーダーやメンバーの力を引き出す役目を果たせるのだ。
チームで仕事をしていると、ついつい目立つリーダーや、頭のキレる優秀なメンバーなどに目がいってしまいがちだ。
しかし、彼らの力も調整役なしには十分に発揮できない。チームでより良い成果を出すには「調整役」の存在が不可欠である。
「チームでの仕事がなかなかうまくいかないな」と思ったら、まずは周りの人を気にかけてみる、そんなことから始めてみてほしい。
自分が調整役になることで、チームとしてより成果を出せるようになるはずだ。
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