HOME一度くらい幸せについて本気で考えてみよう。『河合隼雄の幸福論』

一度くらい幸せについて本気で考えてみよう。『河合隼雄の幸福論』

Haruka Sato

2014/11/10(最終更新日:2014/11/10)


このエントリーをはてなブックマークに追加

一度くらい幸せについて本気で考えてみよう。『河合隼雄の幸福論』  1番目の画像
出典:picjumbo.com
 皆さんにとって、幸福とはどのようなものですか? 何となく、一般的に幸福だと思われている地位や名誉、お金を得ることが幸福だと考えがちな方もいるのでは?
 
 臨床心理学の第一人者であり、京都大学の名誉教授でもあった河合隼雄氏は、人生の微妙な味わいにこそ幸福は見出せると考えていたようです。

 今回は、河合氏の著書『河合隼雄の幸福論』から、幸福の見つけ方について見ていきます。

幸福に効率計算をしない

 著者は、自分の好きなことをする、それを楽しむということが幸福につながるとしています。人によって好きな物事は違うので、当然幸せの形も人それぞれとなりますよね。

 だからこそ、「本当に自分の求めている幸せ」ではなく、「効率よく得られる幸せ」を得ようと考え始めると、途端に息苦しくなってしまうようです。

10円のおにぎりか、800円の音楽か

 10円を出せば食べられるおにぎりと、800円で聴ける音楽があったとき、どちらが「効率の良い幸せ」かと言えば、安くて食欲も満たされるおにぎりでしょう。

 しかしそれを選ぶ人の趣味が音楽を聴くことだとすれば、その人にとっての本当の幸福は、800円で音楽を聴くことかもしれません。

 自分がある物事に対してかけがえのない楽しさや幸福感を感じるとき、そのために使うお金や時間などの効率計算は、問題ではなくなります。他人の目や効率にとらわれずに、自分の感じる幸福を追求していくことが大切になりそうです。

グリムの昔話「ものぐさハインツ」

棒を振りまわしているうちに、大切な壺をたたき落としてしまった。蜂蜜が床に流れ出すのを見て、ハインツが言った。「壺がおれの頭の上へ落っこちなかったのはしあわせだよ。何事も運とあきらめなけりゃいけないもんだ」。そしてかけらのなかに、少し蜂蜜があるのを見て、ほくほくして、トリイネに「この残りかすを、お前、二人でごちそうになろうや。それから、びっくりしたから、しばらくゆっくり休むとしよう」

出典:河合隼雄『河合隼雄の幸福論』(2014)

 これは、グリムの昔話「ものぐさハインツ」の、ハインツとトリイネのやり取りです。一見不幸に思われることでもハインツが幸せと見なしているように、幸せは、自分の考え方次第でぐっと身近なものとなるようです。

 
 今回は、『河合隼雄の幸福論』から、幸福についてのトピックを紹介しました。幸せを身近なものにする考え方について、更に学んでみたい方は手に取ってみてはいかがでしょう。




hatenaはてブ


この記事の関連キーワード