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「わからない」ことを放置していませんか? 『働く大人の教養課程』成長するために必要な基本を学ぶ

Yu Usuki

2014/11/02(最終更新日:2014/11/02)


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by Cydcor

 仕事でスキルアップするために専門分野の勉強をしたり、テクニックを学んだりしている人も多いと思います。しかし、ちょっと学んだだけではすぐに成果は出ませんよね。仕事をする上で必要なのは何か、知識を得たらどう活用したらいいのか、そういった根本的な部分を意識し忘れているのかもしれません。

 今回ご紹介する『 働く大人の教養課程』は、人が「考え」て「行動」するための基本部分のスキルに着目して解説しています。では、どんなスキルを身につけたらスキルアップできるようになるのか、詳しく見ていきましょう。

何が「わからない」のか、明確にする

 「わからない」と思うことは誰にでもあります。しかし、その「わからない」にどのように向き合うかが重要です。

 著者によると「わからない」ことは決して悪いことではなく、「 何がわからないのか、わからない」まま放置してしまう事がいけないとのこと。それを解決するためには「わからない」を明確にする必要があり、著者は次の4種類に分類しています。


・「言葉の意味と背景知識がわからない」
・「理屈がわからない」
・「意図や目的がわからない」
・「どう評価すればいいかわからない」


 このように4つに分類すると、「何がわからないのか」が明確になるでしょう。漠然とした「わからない」では解決法が見つけ出せず、放置してしまいがちですが、その部分をハッキリさせると解決できるようになります。

 そして、「わからない」ことが解決するとまた新たに「わからない」ことが生まれるのも必然です。なので「わからない」は、 何かを諦める言葉ではなく、良い仕事を生むために必要な言葉ということになります。

正しい質問の仕方とは?

 仕事で苦悩する人は、質問にも原因がありました。その原因とは、質問内容ではなく「尋ね方」。質問をする時「“答え”を教えて欲しい」という姿勢の尋ね方をしていますが、 答えを聞く質問は考えることを放棄しているのと同じです。

 では、どのように質問をすれば良いのでしょうか。著者は次のように述べています。

「助けてほしい」と言われる立場に自分を置いて考えてみてください。「教えてください」と言ってきた者を本当にヘルプしてあげようという気持ちになるのは、「ここまで頑張りましたが、この先ができません」と首を垂れてきた時です。

出典: 働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 すぐに助けを求めるのではなく、 考え抜いても答えが出ないときに初めて質問に至るわけです。

連れて行ってもらうのではなく、自分で走るのです。働く大人の基本原理は、「まずは自分のできることはできるだけやっておく」ということです。

出典: 働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 できるだけ自分で考えた上で質問をすれば相手も答えやすくなるだけでなく、質問の内容以上に細かく教えてあげたいという気持ちを持ってもらえるでしょう。

 これは、先述した「わからない」ことを明確にするというものに繋がります。「わからない」ことを明確にし、 自分で解決できる範囲は解決し、それでもわからないときに質問するということです。

 ただ答えが欲しくて質問するのと、考え抜いた末に質問するのでは大きな差ができるのは明らかですね。

発言に優秀さは必要ない

 会議中にありがちなのが 「なにか意見や質問がありますか?」という問いに対し、シーンとしてしまうこと。著者によると、多くの人は「 立派なこと」を発言しなければならないと思い込んでいるのだそうです。

もし議論という場での発言やコメントがすべて「完成品としての答えの提出」だとするならば、ほとんど沈黙が支配してしまうでしょう。企業の現場では時間制限の中でいつかは決断が下されるとしても、答えそのものには完成品などありませんし、学問の世界にも完成した回答など存在しないからです。

出典: 働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 発言の内容が必ずしも「答え」である必要はありません。著者は、そういった意識を取り除くために 6種類のコメントの仕方を覚えれば発言がしやすくなると提案しています。

「自分の言いたいことを説明してみせる」
「自分の言いたいことを質問の形で確認する」
「自分の言いたいことを評価してみせる」
「他者の説明を引き出そうとする」
「他者の言うことを確認する」
「他者の評価を引き出そうとする」

出典: 働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 この6種類を意識するだけで、必要十分な発言をすることができます。そして、どれも「答え」を出していないのがわかるでしょうか。どのコメントも説明や質問、確認をするという誰でも 日常会話でしているようなものでした。

 そして、もし咄嗟に言葉が出てこないならば、 話しながら考えることもできると著者は述べています。まず、第一に声帯を震わせること。声を出すと自然と思考の幅が広がるので、頭の中で考えつかなかったような発言が可能になります。


 今回ご紹介した3つの事柄、あらためて確認すると「当たり前」の技術であることがわかります。しかし、 意外に見落としがちな技術でもあります。学校も社会も「わからない」ことへの向き合い方や、「質問」や「発言」の仕方は教えてくれません。

 本書は、そういった「当たり前」な部分に着目して解説している点が非常に興味深いです。頭では薄々気づいていたものの、具体的にどうしたら良いのかわからなかった人にとって非常におすすめなので、ぜひ読んでみてください。



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