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- +統計的思考の5つの特徴
データの活用がビジネスの成功に大きな影響を及ぼす今日、正しく情報を読み解く 「統計学」が注目されています。みなさんも、書店などで見かける機会が増えているのでは?
何となく興味を持っていても、多忙な中でゼロから勉強し、新たな物の見方を身につけるのはなかなか難しいですよね。そこで、今回は 統計学者のように正確な判断を下せる思考法、「統計的思考」の特徴を『ヤバい統計学』から紹介します。
統計的思考の5つの特徴
1.常に「ばらつき」に注目する
データを見るときに、つい平均値に目が行ってしまいがちではないですか?著者によれば、 本当に目を向けるべきなのはその周りの「ばらつき」だということ。
例えば、車で通勤する人がイライラしてしまう理由は、目的地までの所要時間ではなく、予測不能な事故などによって起こる 想定外の遅れだそう。
平均値の出やすい部分にばかり注目していると、ユーザーの本当に改善を求めている点に気がつかない、ということが確かにありそうです。
2.事実より実用性を優先させる
データからではわからない事実もあります。アメリカでは、クレジットカードを利用する人の信用度を測る クレジットスコアという信用偏差値が存在しています。
この統計モデルは、信用度に相関関係のある特徴を割り出し、それによって支払い不能になりそうな人とそうでない人を振り分けます。しかし、 実際にある個人が支払い不能になるかどうかという真実はその時点ではわかりません。
事実とは言えなくとも、今までのデータを参考に、実用性を重視して利用するのが統計的思考に基づいた行動です。
3.似た者同士を比べる
統計的思考において、どのようにグループ分けをするのかはとても重要になります。
例えば、 「航空会社の墜落事故率」という指標で先進国と途上国を見てみると、途上国の方がその事故率は高いです。しかし、より詳細な 「国際路線での航空会社の墜落事故率」を見ると、事故率はほとんど変わりません。
つまり、 途上国の事故率は国内路線で高かったということですね。 正確な情報は、適切な項目での比較の中で見えてくるため、 比較対象とその指標の確認をすることが必要になりそうです。
4.二種類の間違いの相互作用に注意する
著者はここで、ドーピング検査の「間違った陽性反応」と「間違った陰性反応」という2種類の間違いを例に挙げ、その相互作用について説明しています。
もし、この 「間違った陰性反応」を無くそうと検査の基準を厳しくすれば、風邪薬などの成分も反応するようになり 「間違った陽性反応」が増えてしまいます。逆もまた然りです。
このように、 2つの誤りの相互作用によって真実が隠れてしまうことがあるため、注意が必要だそう。 いかに適切な基準を設定し、誤りを減らすことができるかも重要になりますね。
5.稀すぎる事象を信じない
日頃からデータに基づいて考えるようにしていると、 「めったに起こらないこと=ありえないこと」という考え方になると著者は言います。
統計的思考によって、 過剰な期待や不安から生まれる損失を避けることもできそうですね。
今回は、 『ヤバい統計学』から統計的思考の5つの特徴を取り上げました。これらのことを念頭に置いてデータと向き合うだけで、より正確な情報を手に入れることができそうです。
本書では、他にもディズニーランドや大学入試などのエピソードを交えて「統計的思考」を説明しています。興味のある方は、手に取ってみてはいかがでしょう。
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