経営を行っていく上では、障害の発生はつきものですよね? それは組織の問題であったり、ビジョンの問題であったりと様々かと思います。しかし、そんな中でも経営方針や経営戦略の立て方が明確になっていれば、どんなときでも軸のブレない経営が行えるのではないでしょうか?
今回は、グーグルやサムスンなどの企業の戦略にも影響を与えた『孫子』を経営学者である伊丹敬之氏が解説した、『孫子に経営を読む』という本について紹介します。
一日道、二日天、三日地、四日将、五日法
「兵は国の大事なり」。国の大事への基本スタンスを述べている孫子は、兵について考える際に鍵となる5つの要因があることを指摘しています。ちなみに著者は、ここでの「兵」を「国防」と捉えています。
経営に置き換えると、理念(道)・環境(天)・戦略(地)・現場の指揮官(将)・経営システム(法)です。環境は外部要因、それ以外の4つは内部要因となります。
孫子はこれら5つの中でも、 上から順に優先順位が高いことを示しています。最初に道を挙げているのは、「人心の統一と上下の意思の統一」が兵にとって一番大切だと彼が明確に意識しているためです。
経営者は、自身の理念を社員に浸透させることが大切であるといえるでしょう。
7つの計
先ほど挙げた5つの鍵要因について、敵と自分を比較して算(はかりごと)をめぐらすことが多ければ、戦に勝てる可能性が高いと孫子は述べています。比較するポイントは以下の7つです。
それぞれ、①統治の道理 ②実行役の能力 ③環境の有利・不利 ④組織の運営 ⑤チームの強さ ⑥メンバーの訓練度 ⑦賞罰の適切な行い、と捉えることができるでしょう。
「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」という言葉からも、孫子は事前の計算や対策を大切にしていたことがうかがえます。実際の戦いの前の 事前の緻密な計算が、経営においても重要なのではないでしょうか?
勝ちを知るに五あり
孫子は、どのような状態の人が勝負に勝てるかを5つのタイプに分けて述べています。
状況をしっかりと把握し、それに伴って行動を決定するということが経営においても重要と言えそうです。 これら5つの状態を揃えて勝つということが、経営の「あるべき姿」と言えます。
いかがでしたでしょうか? 経営理念を定めて浸透させ、戦略を決断し、その後の現場の判断は社員に委ねる。これが孫子の考えから提唱される、あるべき「経営」の形なのかもしれませんね。
他にもこの著書では、「戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ」「兵の形は実を避けて虚を撃つ」など著者が感銘を受けた30のキーワードが紹介されており、企業のエピソードを交えた実践的なヒントを読むことができます。気になった方は一度チェックしてみては?
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう