(写真 グロービス経営大学院 経営研究科長 田久保善彦氏)
毎日地道にコツコツ仕事をこなしているけど、成長している実感がない。このままだといつか周りに差を付けられそうだけど、何をしていいか分からない。そんな思いを抱きながら仕事をしているビジネスパーソンは多いのではないだろうか。U-NOTEでは、そんなビジネスパーソンに参考していただけるよう、日々様々なコンテンツをお届けしている。
今回はビジネスのプロフェッショナルの力を借りたいと思う。MBA(経営学修士号)でおなじみのグロービス経営大学院 経営研究科長 田久保善彦氏のセミナー(「成長スピードを加速させるスキルとトレーニング方法」)から、若手ビジネスパーソンが身につけるべき基礎スキルを厳選してお伝えする。どれも今日からすぐに実践できるものばかりなので、ぜひトライしてほしい。
グロービス経営大学院
グロービス経営大学院は東京・大阪・名古屋・仙台・福岡で、ビジネスリーダーを育成するための実践的なMBA(経営学修士)プログラムを提供する専門職大学院です。
1:“曖昧な言葉”をとことん排除せよ!
働いていると、1日に何度も「考える」時間があるだろう。しかし、その中で「論理的に考えた」と言える時間はどれくらいあるだろうか。
例えば、以下の会話。
人事部長「わが社にはビジョンを描けない人が多いね。ビジョン構築力を高めるトレーニングはないかね?」
人事担当者「そうなんですよ。実際社員からも、組織がどちらの方向に進んでいるか分からないというコメントがよくあるんですよね」
田久保氏によると、この会話は「謎の会話」。なぜなら「ビジョンって具体的にどんなもの?」「『ビジョンを描けない人が多い』ってどれくらいいるの?」「ビジョン構築力ってどんな力?」「『コメントがよくある』って、何人中何人が言っているの?」とツッコミ所が複数あるからだ。
例えば、 次のような言葉に注意するべき。
①かなり・大変・もう少し・前向きに・早めに・できるだけ→具体的な内容や数字に置き換える
②検討する・頑張る・対処する・意識する・コミットする→具体的な行動を指し示す表現にする
③シナジー・バリュー・ダイバーシティ・ブランド→平易な日本語で言い直す
④その手のこと・あのようなこと・そういったことを含めて→何を指しているのか具体的に示す
こうした思考技術を身に付けることは、グロービス経営大学院のMBAプログラムの中の基本科目に位置付けられている「論理思考(クリティカル・シンキング)」を磨くための第一歩。一見難しそうに思えるMBAの科目が、少し身近に感じられたのではないだろうか。
2:プレゼンテーションは「誰に届けたいのか?」をまず考えよ!
スティーブ・ジョブズ氏やTEDなどの影響で、最近関心が高まっているのがプレゼンテーション。プレゼンは「内容」がしっかり伝わることは当然だが、その結果として聴衆の行動を促さなければ意味がない。
田久保氏によると、プレゼン準備の際に最初に考えるべきことは、「誰に届けたいのか?」。
説明会であれば、「その場の空気に大きく影響を与えそうな人物」、コンペティションであれば「意思決定者」などなど。プレゼンは、ターゲットにした人に届かなければ意味がない。まずは聞き手のことを具体的に考えるスキルを磨くこと。テクニックを考えるのはその後でいい。
当たり前のことだが、なかなか意識できないことかもしれない。
グロービスでは、MBAプログラムの基本科目として「ビジネス・プレゼンテーション」がある。聞き手が何を聞きたいのかを深く考え、プレゼンのストーリーを磨き上げることを重視した科目だ。プレゼンに磨きをかけ、説得力のある内容を追求したい人におすすめだ。
3:コミュニケーション力=相手を理解すること。「情報×解釈力×価値観」を把握せよ!
就職活動時からずっと耳にしているコミュニケーション力。でも、「コミュニケーション力ってなんだろう?」と考えたことはあるだろうか。グロービスが考えるコミュニケーション力は、以下の通りだ。
①理解し合おうとせよ
一生懸命話した後は、「これだけ話したのだから相手には伝わっただろう」と思いがち。しかし、「本当にそうだろうか?」。きちんと相手に「伝わりましたか?」と確かめない限り、それは分からないはずだ。
お互いを理解し合おうという姿勢こそが、コミュニケーション力の基礎。
②相手を理解するポイントは「情報×解釈力×価値観」
情報について意識すべきことは、相手との情報格差。手元にある情報を自分がどこまで正しく理解できているかを意識することは当然だが、その情報を相手がどこまで知っているのかも常に意識すること。
加えて重要なのは、相手がどれくらいの情報解釈力(リテラシー)を持っているのかを把握しておくこと。相手の解釈力に合わせて話をしないと、あなたの意見は伝わらない。
価値観とは、人それぞれの考え方。例えば、まだ誰も参入していない市場を発見して「ライバルがいない!」と魅力的に感じる人もいれば、「需要がないんじゃない?」と否定的に見る人もいる。
上に挙げたように、自分と相手には、情報量や解釈力、価値観など様々な面で違いがある。それらをしっかり認識していないと、良質なコミュニケーションは生まれないのだ。
4:情報収集は、目的とアウトプットを押さえてから行え!
ビジネスパーソンならおそらく毎日行っているであろう情報収集。こんなところでもちょっと気をつけるだけで、周囲と差をつけることができる。
それは、「アウトプットを想定してから情報収集する」ことだ。何のために情報収集をするのか、そしてどんな形(文章・グラフ・表)で情報を表したいのか。集めている情報が複数あったとして、どんな順番で表示するのか。プレゼンのスライドを思い浮かべて、「この情報は何のために使うのか?」「どのように表現したいのか?」を常に意識しながら集めると、手早くムダなく情報収集できる。
5:周囲を巻き込む力を磨け!
ビジネスをしていると分かるだろうが、自分ひとりでできることは限られている。特に大きなプロジェクトを進めたいときは、「周囲を巻き込む力」が重要となってくる。
周囲を巻き込むために必要な力について、田久保氏はこう語った。
①社内人脈をつくれ!
特に「困ったときに相談に乗ってくれる人」「社内外の人とつないでくれる人」「失敗したときに、ダメ出しをし、叱ってくれる人」との人脈をつくること。積極的に食事に誘うなどして、分からない点があれば質問できる人を見つけよう。
②信用残高を増やせ!
社内人脈をつくっても、相手に信頼してもらえないと巻き込むことはできない。では、ビジネスパーソンはどんなポイントで相手を信頼するのか。
・専門性がある…自分の仕事について、普段から積極的に情報収集をしているか。
・仕事の実績がある…期日を守る、遅刻しないといった基本的なことはもちろんのこと、小さくても何らかの成功をおさめて続けているか。
・仕事に対する姿勢…責任感、粘り強さ、現場に足を向ける、学ぶ姿勢があるか、など。
・コミュニケーションがとれる…人の話をちゃんと聞き理解する姿勢があるか、きちんと謝れるか、ふるまいが丁寧であるか、話していると(関わっていると)元気になれるか、など。
今回ここでは5つの基礎スキルを紹介したが、グロービス経営大学院著『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力』では、ビジネスパーソンに最低限必要なスキルとして、以下の10項目を掲げている。
・論理思考力
・コミュニケーション力
・仮説構築力
・情報収集力
・データ情報分析力
・次の打ち手を考える力
・プレゼンテーション力
・周囲を巻き込む力
・チームを作る力
・志を育てる力
MBAというと、経営幹部候補が行くエリート養成学校というイメージが強いが、実は若手ビジネスパーソンに必要なこうした基礎力を磨くスクールでもあるのだ。
「MBAなんて、起業したい人や意識の高い人がとるものでしょ?」と思うなかれ。こうした基礎力を若いうちに身に付けることで、周囲と大きく差をつけることができ、その結果、自分のやりたい仕事ができる可能性が高まるのだ。グロービス経営大学院では、今回紹介した科目を含め1科目(3ヶ月)から学べる「単科生制度」があり、気軽に学習を始められる。
気になる方は、まずは「オープンキャンパス(体験クラス)」に参加してみてはどうだろうか。あなたのキャリアにプラスになるものが、きっと得られるはずだ。
オープンキャンパス | MBA・経営学修士のためのビジネススクール グロービス経営大学院
グロービス経営大学院のオープンキャンパスについて。ビジネスリーダーを育成するためのMBAプログラムを東京・大阪・名古屋・仙台・福岡で提供。MBA用語集や国内MBA情報も掲載。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう