学業、スポーツ、ビジネス……。いかなるフィールドでも人間の活動には競争はつきものです。試験や競技など、勝負ごとは常に周りに存在していると言っても過言ではないでしょう。そんな競争の中で成功を収めるためには、ここぞという場面で最大の力を発揮しなくてはなりません。
しかし、どんなに日々練習を重ねていても本番の不安を完全に消すことは難しいですよね? 練習と競争は別。勝者は多く練習した人ではなく、上手く競争した人なのです。
果たして競争において、不安とはどう向き合っていけば良いのでしょうか?
ここでは、世界の大学研究者が心理学的な観点からネガティブ思考とパフォーマンスの関係について捉えた、『競争の科学』という本について紹介します。
人間の思考の12%は比較による自己評価
実際に起きていないことや恐らく実現しないことなど、空想のシナリオに多くの時間を費やしている覚えはありませんか? イリノイ大学の研究によれば、私たちは平均して1日の思考の3%をこれらの熱心な想像に費やしているそうです。
また、過去の失敗を思い出して「また同じ失敗をしてしまわないかな」といった過去・未来と現在の比較や他人と比べた際の自分の評価など、実に私たちは思考の12%を自己評価にあてています。
不安を感じる自己評価は止めるべき?
困難が予測される競争を前にしたとき、また、そのような競争の後に思考に占める自己評価の割合は上昇するとのこと。確かにそういった状況のときには、相手と自分を比べたりして不安を抱いてしまうこともありますよね。
不安はミスにも繋がることから、このような思考に陥ることは止めるべきだと一般的には考えられています。しかし、事実はそうではないんです。
多くの研究結果では、「失敗するかもしれない」「自信が湧かない」といった認知的不安が高いとパフォーマンスも高くなる、というケースが。また、呼吸や鼓動が早くなって汗をかく、といった体の状態がパフォーマンスを低下させるという理論も、それを証明するデータが実験や観察によって得られないことが多いとのこと。
人には最適な不安レベルがある
自分のパフォーマンスが最高になる効果的な不安のレベルがあることが著書では述べられています。
また、特に重要なのは不安をどう解釈するかということです。不安という思考を有害なものとして捉えるのではなく、ネガティブな思考に陥っていると自覚した上で「状況をコントロールできる」と信じることがプロとアマチュアの違いと言われています。上手く競争している人は、不安を有益なものとして捉えているようです。
いかがでしたでしょうか? ネガティブな思考を自覚した上で勝つ見込みを感じること、驚異を挑戦へとシフトすることが成功のカギです。他にもこの著書では、生物学や神経科学など世界中の研究者の様々な研究成果から、競争に勝つためのパフォーマンスの上げ方について考察されています。気になった方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
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