通勤電車の中を見渡してみると、誰もが皆スマホに向かい、フォロワーの動向をチェック、熱心に「いいね!」を押す…。私たちは、このような光景に見慣れてしまってはいませんか?
FacebookやTwitterにはじまるSNSは、現代人にとって欠かせないコミュニケーションツール。しかしこのSNSの台頭は、 私たちのコミュニケーションの在り方を変えてしまったようです。今回は 『なぜ「つながる」ほどに「疲れ」を感じるのか?』という本と一緒に、現代人が抱えるコミュニケーションの闇について考えてみたいと思います。
「つながる」=「さらされる」
SNSの登場により、自分という人間、自分が発するものや考えに、人が目を向けてくれる、賛同してくれる…。そういったこれまでにない新鮮な感覚を、人々は味わってきました。これが 「つながる」ということなんだな、と。しかし、FacebookやTwitterに投稿するようになってから、多くの人々は 「疲れ」を覚えるようになりました。「つながり」を求めてSNSを利用しているのに、どうして疲れるのでしょう?
著者が言うには、 「つながる」ということは裏を返せば「さらされる」ということ。「Twitterをやってから、初めて見ず知らぬの人に自分の投稿をけなされて凹んだ」なんて話はもはや珍しくありません。誰が見てもウケるプロフィールや投稿を心がけたり、実名制だから下手なことはできない、など…。 ユーザーは知らず知らずの内に、「さらされる」ことによる恐怖と闘い、そして疲れてしまうのです。
SNSによって人と「つながる」ためには、「さらされる」ことのリスクも背負わなければなりません。時には自分のコンテンツ(コメントや写真)が揶揄され、さらにそれを揶揄した人もまた揶揄されていく、といったループ現象も生まれるでしょう。そのループの中に自分がいることで、人は息苦しさを感じているのかもしれません。
「つながり」を調整しよう
著者は、SNSによるコミュニケーション疲れの対処法として、 「つながり」のバランスをとることを推奨しています。一般的なビジネスマンは、平日を会社で過ごすもの。そこで自分の素を思うがままに出している、という人は少ないでしょう。「ビジネス仕様」の自分を作り、社内や社外、多くの人々の中で適応すべく自分を調整しています。そうやって平日を乗り切って週末を無事に迎えると、ホッとする…。ソーシャルメディアの中で起こっていることも、これと同じなのです。
たくさんのユーザーにさらされる場所の中で、 「SNS仕様」の自分のまま長時間過ごしていると、次第に疲れを覚えるでしょう。それはまさに、「平日のビジネスマン」そのもの。ならばソーシャルメディアにおいても、週末のように ホッとできる場所がほしくなりますよね。
Facebookの中で考えるならば、「ホッとできる場所」として グループ機能を活用しましょう。グループとはすなわち 「特定の人とだけ」つながれる場所。最低2人以上でグループを作ることができるので、家族や恋人、ごく親しい友達、共通の趣味の集まりなど、気心の知れた人とのみつながれる場所にすることができます。また、「秘密のグループ」で設定すれば参加するメンバー、投稿の中身、グループの存在を丸ごと非公開にでき、外にさらされる心配もありません。
このように色々と便利な機能が備わっているグループ機能ですが、ユーザーが最も嬉しいのは 「SNS仕様」の自分でいなくて済むことでしょう。みんなとつながる場所(=投稿とニュースフィード)と特定の人とだけつながれる場所(=グループ)を並行して持つことで、「つながり」の調整を図ることができれば、精神的にも楽になるはずです。
SNSの台頭は私たちに新たなコミュニケーションの場をもたらしたのと同時に、これまでにない「さらされる」ことによる恐怖を植えつけました。「つながり」を求めたはずが、いつの間にか疲れている。このような経験をされた人は、現代人には多いでしょう。「つながり」のバランスを自ら調節することが、ストレスなくSNSと付き合うコツのようですね。
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