「本当の自分とは何なのか?」度々そんなことを考える人は多いのではないでしょうか。人の”コモディティ化”を恐れ、自分の個性や独創性を探すことに必死になるのはもうやめよう!と言っている一冊の本、 『「自分」の壁』を今回はご紹介します。この本の中で著者が言うには、 「本当の自分」を探すよりも、「本当の自信」を育てるべきなんだとか。
「自分探し」なんて必要ない
自分の個性を追い求めるための「自分探し」をされる人が多いみたいですが、著者はそれに真っ向から反対しています。特徴や長所があるのはもちろん良いこと。ですがそのような個性は、別に 「発揮せよ」と言われなくても自然と身についているものではないでしょうか? 個性とは周囲がお膳立てをして発揮させたり、伸ばしたりする類いのものではありません。むしろ、 周囲が押さえつけにかかっても、それでもその人に残っているものこそが個性なのだそう。
意外に思われるかもしれませんが、この個性は 徹底的に真似をすることから生まれるんだとか。それをよく表しているのが、日本の 伝統芸能の世界。入門した弟子は、まず徹底的に師匠の真似をさせられます。「とにかく同じようにやれ」という過程が10年、20年と続きますが、それだけ続けても師匠のクローンをつくることはできません。どこかがどうしても違ってくるもの。その違いこそが、師匠の個性であり、弟子の個性。 徹底的に他者の真似をした結果、個性は見えてきます。
ではなぜ、「本当の自分」を探す人が増えてきてしまったのでしょう?それは、 現代社会に問題があるから。それぞれの人が個性を発揮するには、世間の方がきちんとしていなければなりません。師匠が基礎をきちんと学んで、その道をきちんと歩んでいるからこそ、徹底して真似る甲斐があるというもの。ところが、 今は世間の方がきちんとしていないにもかかわらず、人々に「個性を発揮せよ」と言っている状態。そのため若者も訳がわからないまま、「自分探し」という旅に出てしまうのでしょう。
「本物の自信」がブレない自分をつくる
「自分探し」よりも、著者は 「本物の自信」を持つことが大切だ、と説いています。人が個性や独創性を追い求めようとする原因は、 自分に対する自信の無さからくる不安感情。何があってもブレない自信を持つことができれば、個性などに捉われることはなくなるのではないでしょうか?
自信を育てるためには、苦労がつきもの。目の前に問題が発生し、何らかの壁に当たってしまった時に、そこから逃げてしまう方が効率的に思えるかもしれません。実際にその時のことを考えるだけでよければ、その方が楽でしょう。ところが、そうやって回避しても、結局はまたその手の問題にぶつかって、立ち往生してしまうものです。 社会で起こっている問題から逃げると、同じような問題にぶつかった時に対処できません。
「こういう時は、こうすればいい」という常識を身に付けず、「逃げ癖」がついた人では、自信を手に入れることは難しいでしょう。 様々な経験からあらゆる状況にも対応できる常識を身に付けてこそ、何事にも左右されない「本物の自信」の獲得につながるのです。
「自分探し」はもうやめよう。著者のこのメッセージは、人と同じことを恐れて個性の発掘に必死な現代人にとって耳の痛い話。一方、自分に絶対的な自信を持っている人にとっては、個性は取るに足らないことのようですね。個性を見つけることに時間をかけるよりも、何があってもブレない「本物の自信」を手に入れる努力をしていきましょう!
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