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人の話を聞くように本を読む。出口治明氏が語る『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』

Yu Usuki

2014/10/14(最終更新日:2014/10/14)


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by martinak15
 みなさん読書してますか? 仕事で忙しい中で読書をしようとすると、どうしても即効性のありそうなビジネス書ばかり読んでしまいますよね。古典や歴史の本を読むと教養になるのは分かってても、最後に読んだのはいつだっけ? と思うこともしばしば...

 今回の書籍『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』で、読書家として有名なライフネット生命CEOの出口治明氏が語る「教養」を得るための読書術をご紹介します。

本を読むことで得られるメリットの大きさとは

 教養を身につけるために何をしたらいいのか。たとえば、人に会うことや旅をすること、そして本を読むことなどが挙げられます。どれも有用なことですが、著者はこの中でも本に一番メリットがあると述べています。

1. 最小限のコストで教養が身に付く

 1つ目のメリットは、 コストと時間がかからないことです。人に会うためには時間がかかり、旅をするにも時間と高い旅費がかかります。著者は「アメリカ大統領」に関してユニークな例えをしています。

「アメリカのオバマ大統領に直接会って、話を聞きたい」と考えたとしましょう。飛行機のチケットを買って、1ヶ月滞在して、(中略)オバマ大統領に会える確率は、おそらくゼロに近い。そう簡単には会えません。

しかし、リンカーン大統領なら、わずか700円足らずで、会うことができます。『リンカーン演説集』を買って読めば、それで足りるからです。

出典: 出口治明(2014)『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』
 あくまで例えなのですが、本を読むということは低コストで著名人の話を聞けるということです。

2. 読書で得られるイメージの大きさは実体験を凌駕する

 2つ目のメリットは、 読書によって実体験に勝るイメージが得られるということです。

初めて訪れる場所でも、事前に本を読んで知識を持っていれば、前に見たことがあるようなデジャヴ感を覚えることがよくあります。(中略)実体験はたしかに強い影響力を持ちますが、本当に優れた映画や文学は、体験をゆうに凌駕する力があると思います。

出典: 出口治明(2014)『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』

 歴史や社会的な背景を知るだけで、読書をしていたかで大きな差がでます。そして、優れた作品に巡り会えた時、実体験に勝る読書体験ができるでしょう。

「速読」よりも「熟読」

 読書術をテーマにすることの多い 著者は、「速読」には否定的です。まず、著者は目次や見出しを読まないそうです。その理由として以下のように述べています。

私は、本を読むことと、人の話を聞くことは同じだと考えています。人の話には、目次がありません。聞き飛ばすこともできません。

出典: 出口治明(2014)『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』
 
 著者は、 読書を人の話を聞くことと同じと捉えているため必要なところをだけをつまみ読む「速読」を否定していたのです。もし、 必要なところだけを素早くしりたいなら、ネット書店の概要を読んだり、Wikipediaを読むほうが効率が良いからだそうです。

「即効性」を求めてはいけない

 「速読」に否定的な著者は、それと関連して本に「即効性」を求めてはいけないとも述べています。

「すぐに英語がうまくなる」などといった即効性を謳う本もありますが、怪しいと思いませんか。そんなにラクな方法があるのなら、全員、英語が話せるようになっているはずです。でも、実際にはなっていないのですから、「そんなに都合のいい話は、どこにもない」ということです。

出典: 出口治明(2014)『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』

 読書というのは、 読んだ時に意味が理解できなかったとしても人生経験を積む過程でジワジワと腑に落ちれば、それだけで儲け物です。

 他にも人脈術のような本がありますが、そのような本を読むよりも 古典や歴史書などを読むことでおもしろいボキャブラリーが増え、自然と人脈が増えていくのだそうです。「速読」や「即効性」を求めてもなにも解決しないのでしょう。


 読書術がテーマの本は様々な著者が執筆していますが速読を否定して、 じっくり教養を蓄える「熟読」を提唱する出口治明氏の語り口は数ある読書術のなかでも独特なもの。古典、歴史書を読む意味や本の持つ実用性の本当の意味を知りたい方は、ぜひ本書を手にとってみてください。


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