「イノベーション」とは「新結合」のことを指し、既存のアイディアから新しい価値を想像することをいいます。わかりやすい例を挙げると、Apple社のiPhoneによって既存の電話にイノベーションが起きました。
現在は、消費者たちがイノベーションを起こす時代です。企業も率先してWeb上にプラットフォームを続々とリリースし、ユーザーはそれを利用してオープンにアイディアを公開するようになりました。
今回は、ユーザーによるイノベーションがどのようにして起こってきたのか『ユーザーイノベーション』をもとにご紹介します。
イノベーションの民主化が進んでいる
ユーザーイノベーションはまず、 リードユーザーがイノベーションを起こしたことを発端に広まり始めます。リードユーザーとは新しい物を率先して試している層の人たちのことです。ユーザーが起こしたイノベーションが企業に影響を与えられることを知り、ユーザー達は拡散を始めます。それを「イノベーションの民主化」と著者は述べており、これは着実に進んでいるそうです。
分かりやすい例として、雑貨店にあるお洒落なマスキングテープがあります。これもユーザーイノベーションによってできた商品です。マスキングテープはもともと簡単に剥がせることから、塗装をする際に色移りしないよう貼っておくテープとして認知されていました。
マスキングテープは剥がすのが簡単であることに着目したユーザーが、レターセットの封筒を閉じる時などに活用したことから、雑貨店にあるお洒落なマスキングテープが登場したのです。
コミュニティに属しているユーザーのイノベーションが瞬く間に広がる
個人のユーザーが起こしたイノベーションが、どうして企業に影響を与えるようになったのでしょうか。 コミュニティが大きく貢献しているからです。個人で完結しているイノベーションは世に出ることはありませんが、特定のコミュニティ(サークル、Web)を通じて拡散していきます。
イノベーションの拡散は、特にWeb上で顕著に起こっています。活用法を発見したユーザーはインターネット上にブログやSNSを通じて簡単に発信することが出来ます。そして、 有用性があると感じたその他のユーザーが拡散するという仕組みが成り立っています。このようにして、ユーザーがイノベーションを起していく「イノベーションの民主化」が形成されていきます。
企業よりも優れたイノベーションが起こる可能性
この「 イノベーションの民主化」が進むことによって、企業よりも優れたイノベーションをユーザー達が起こす可能性がでてきました。企業と違い、ユーザーはあくまで消費者。消費者は、日常で便利になる活用法があればすぐ実践するので、実用性に富んだイノベーションを起こせます。
そして、 企業もその動きに着目し、ユーザーによるイノベーションの影響を受けて数々の商品が販売されるようになっています。インターネット上で気軽にイノベーションを公開できる時代だからこそ、企業もコストを掛けずにアイディアを得られるようになりました。今後、ますます ユーザーイノベーションが普及していくと著者は述べています。
「イノベーション」という言葉の従来のイメージ、企業や専門的な組織が起こすと思われがちでしたが、 個人がイノベーションを起こす時代が既に始まっています。本書では、ユーザーイノベーションによる商品化事例など詳細が書かれていますので、未来のイノベーションについて考えたい方は手にとってみては?
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