2014年10月1日、日本銀行は9月の企業短期経済観測調査(短観:日本銀行が3か月ごとに公表する、日本の経済動向に関する統計調査のこと)を発表しました。この短観によると、業況判断指数(DI:景気に対する印象「良い」から「悪い」を引いた割合)は、 大企業製造業で前回(2014年6月調査)比1ポイント上昇し、6か月ぶりに改善しました。
「景気に対する印象」が改善したのは、大企業製造業のみ
大企業製造業の「景気に対する印象」は、2014年4月の消費増税後にぐっと落ち込んだものの、9月調査でわずかながら改善しました。その具体的な数値としては、消費税増税前の2014年3月にプラス17、6月にプラス12、そして9月調査ではプラス13と推移し、前回より1ポイント上昇です。
しかし一方で、 大企業非製造業の「景気に対する印象」の推移はというと、2014年3月にプラス24、6月にプラス19、9月調査ではプラス13となり、2期連続で悪化しました。なお、 中小企業に関しては、 製造業・非製造業にかかわらず、「景気に対する印象」は下方に推移しています。
全体の「景気に対する印象」の推移をみてみると、2014年6月にプラス7、9月調査ではプラス4となり、3ポイント下方に推移したことになります。このデータから見ると、日本の景気は回復しているとは言えません。
海外の反応は「予想外の改善」
しかし、今回の「景気に対する印象」の推移に対していくつかの海外メディアは、これを「予想外の改善」と報じました。
実際に、エコノミストの予想では、 大企業製造業の「景気に対する印象」はプラス10とされていましたが、その予想に反してプラス13となりました。
ではなぜ今回 大企業製造業の「景気に対する印象」はプラスに推移したのでしょうか?その理由としては、現在、円安が進んでいることを挙げらています。
円安は、海外への輸出が大きい 大企業製造業にとっては有利となります。しかし一方で、円安は輸入コストを増加させてしまうため、卸売業・小売業といった 非製造業に対しては不利に働きます。 中小企業製造業にとっても、(原材料等の)輸入コストの上昇が輸出コストを上回るため、不利に働いたとみられています。
今回の「景気に対する印象」の推移は、あくまでも3月、6月、9月と3回のデータを基に分析されたものですが、消費増税直前の3月から消費増税後の6月の「景気に対する印象」のポイント下落と比べると、6月から9月にかけての「景気に対する印象」の推移は比較的安定してきたといえるでしょう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう