今日では成功している企業だけでなく、その企業が実践している経営手法や理論にも注目が集まっています。経営に関する様々な議論が飛び交うビジネス社会ですが、実はこれまで正しいとされてきた経営の常識は、実際のところ役に立たないものが多いそう。 『ヤバい経営学』という本から、良しとされてきた経営理論の実態を知ることができます。
流行の経営施策に便乗するな
目標管理、マトリックス組織、TQM、シックスシグマ、ISO9000…。こうした有名な経営施策の多くは一過性の流行りに終わり、今ではもはや見向きもされていないそうです。調査によると、 流行りの経営手法を導入した会社は、導入していない会社と比べて業績が良い訳ではありませんでした。それなのになぜ、多くの経営者はこうした流行の経営施策に手を出してしまうのでしょうか?その答えを、著者は次のように述べています。
他の人たちがやっていることは、イコール正しいということではありません。流行の経営手法にはあまり意味がないことは、何度も科学的に実証されているそうです。消費者がむやみやたらに商品を購入することが良くないのと同様、 流行だからといってすぐに新しい経営施策に飛びつくことは望ましくないようです。
リストラには効果がない?
原因と結果は、ビジネスの世界では見えにくい問題です。ある経営施策がすぐに利益をもたらしたら、それが良いものだと思い込みがち。短期的な利益の存在が、長期的に良い結果を生むとは限りません。しかし、悪い結果が最終的に現れても、始めのやり方が原因だとはほとんど気付きませんよね。
例えば、 「経営合理化」という施策(リストラ、人員削減など)の短期的なメリットは、 「コスト削減」という明確なもの。その反面、 イノベーションが減り、従業員のモチベーションが下がり、会社への忠誠度も減退する、といった長期的に大きなマイナスがあることが証明されています。そういう結末を迎えてしまうことは、時間が経って初めて明らかになるのです。
”経営合理化は効果がない”著者はこう主張しています。調査によれば、人員削減は利益率向上に貢献しないばかりか、むしろ悪化の原因に。人員削減の後は社員のやる気も減退し、自己都合退職が増えることが、明らかになっています。
これまで正しいと思っていた経営の常識ですが、その現実は非常に厳しいものでした。いくら学者や本の言葉にあるからといって、何でも鵜呑みにしてしまうことは危険といえるでしょう。自身の会社にマッチした経営手法・理論は何なのか、見極める必要がありそうですね。
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