注目すべき点は「政治献金」と「結びつき強化」
経団連とは何かご存知でしょうか?経団連(日本経済団体連合会)とは、日本の代表的な企業約1,300社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体約100団体、地方別経済団体約50団体などから構成されてる団体のことで、その目的は「企業の発展とそれによる国民生活の向上」にあります。目的を達成するためには、時の政権と協調関係を築き、財界が望む経済政策に誘導することが求められます。
上記の目的を達成するために、経団連と自民党との間で互いの結びつきを強化しようという動きがありました。
具体的には、経団連の政治献金への関与の再開や、経団連の会長である榊原氏と自民党総裁の谷垣氏が懇談会を開き環太平洋経済連携協定(TPP)・エネルギー政策を巡る意見交換が行われる予定です。
今回、このニュースが注目されているのには、主に2つ理由があると考えられます。一つは、2012年に経団連の元会長である米倉弘昌氏と安倍首相の関係が悪化し、その関係が今だ修復されていなかったことが理由として挙げられます。そしてもう一つの理由は、経団連が5年ぶりに政治献金への関与を再開する方針を決めたからです。
実際、安倍政権は長期政権になると考えられるため、経団連は政治献金を再開することで、安倍政権および自民党と良好な関係を築きたいという意図があります。
では、なぜ米倉氏と安倍首相の関係は悪化したのか、そして政治献金が及ぼす政治への影響とは何なのかについて解説します。
2年前に安倍総理と経団連前会長は仲たがいを起こしていた
安倍首相と経団連の元会長である米倉氏との仲たがいは2012年前にまで遡ります。2012年の総選挙の公示直前に、経団連の前会長である米倉氏が当時自民党総裁であった安倍晋三氏の掲げる金融緩和政策を「無鉄砲」な政策であると痛烈に批判したのです。
これに対して安倍氏は「米倉会長は勉強不足だ」「(自民党の掲げる政策に対して)認識不足である」と反論し、結果的に米倉氏が安倍氏に電話で謝罪するに至りました。
両者の関係悪化はこれに留まりませんでした。総選挙後、米倉氏は、安倍氏と直接会える機会があったのにもかかわらず、それを欠席してしまいました。
一週間後、両者の会談は実現したそうですが、ぎくしゃくした関係が改善されたわけではありませんでした。
政治献金の再開は波紋を呼ぶかもしれない!?
以上のような経緯を経て、経団連と安倍政権との関係は改善されないまま現在に至りました。そのため、安倍政権の長期化すると予測されているということもあり、現経団連会長である榊原氏は政治献金の再開というカードを使って関係の改善を図ろうとしているのです。
ただ企業による政治献金は、見返りを求めれば賄賂行為に当たり、国民のためではなく、金銭目的で政治を行うといった政財癒着に繋がりかねません。そのため、経団連の献金への関与により、国民から「政策をカネで買う」との批判が強まる可能性は十分考えられます。実際に政治献金は「ロッキード事件」や「リクルート事件」などの数多くの腐敗をもたらしてきました。
果たして経団連の政治献金への関与は正しい判断なのか、今後も政治とお金を巡る動向には目が離せません。
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