

電子書籍の販売で出版大手と共謀し価格をつり上げたとして、顧客を代表して米ニューヨーク州などがIT大手アップルを訴えた裁判で、アップルが条件付きで、顧客などに4億5千万ドル(約460億円)の支払いに合意したことが16日、ニューヨーク連邦地裁の開示資料で明らかになった。
Appleが、電子書籍に関する訴訟において、消費者に4億5千万ドル(約460億円)の支払いをすることに合意しました。Appleは出版社と協力して電子書籍の価格を操作し、不当に値上げをしたのです。
どうしてAppleはこのようなことをしたのでしょうか。今回の事件の陰には、Amazonの存在がありました。
アマゾンは「新刊人気書籍の電子版は、均一9ドル99セント」という画期的な値付けをして、「iPad以前」の電子書籍分野をほぼ駆逐していたのでした。
ところが、「いずれは電子書籍の値崩れが出版界全体に悪影響を及ぼす」と危機感を抱いた出版5社がアップルと結託し、「新たにエージェンシーモデルを採用しなければ、本を卸してあげませんよ」と電子書籍販売網に圧力をかけ、結果的に「9ドル99セント」の価格がつり上がったと、司法省は問題視したのでした。
電子書籍において、Amazonから出版社を守るためにAppleは手を組み、価格を上げたのです。
アメリカでは、電子書籍の値段を今までは出版社ではなく電子書籍ストアが決めるのが主流で、Amazonは電子書籍を安い値段で提供して莫大な人気を得ていました。Amazonによる市場支配を危惧した出版社は、Appleと共同して出版社が値段を決める制度を導入することを提案し、Appleはそれに乗ったというわけです。
結果、電子書籍の値段は上がり、Amazonはその影響を受けて今まで通り安価で販売することができなくなってしまいました。
インプレスR&Dの国内の電子書籍ストアの利用率に関する調査結果(2013年10月調査)によれば、1位はAmazon「Kindleストア」(55.2%)、2位はApple「iBookStore」(17.5%)、3位は紀伊国屋書店「Kinoppy」(13.5%)、4位は楽天「Kobo」(11.9%)、5位はソニー「Reader Store」(11.0%)となっている。
Appleの電子書籍サービス「iBookStore」が日本で開始されたのはごく最近で2013年のことですが、すでに国内の電子書籍ストアのシェア2位です。ただ、日本においてもAmazonの電子書籍サービス「Kindleストア」が圧倒的に市場を支配しています。今回、AppleがアメリカでAmazonに対抗する為の策を施したように、日本でも何か動きを起こすかもしれません。
電子書籍の利用率は伸びており、日本では書籍全体の8%、アメリカでは20%の利用率です。これからも電子書籍は広がる見込みですが、今回の事件の他にも、著作権を侵害して勝手に書籍を電子化する自炊という行為をして販売する事態が起きているなど、問題が存在します。電子書籍のニュースはこれからも尽きそうにありません。
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