現在も激しい戦闘が繰り広げられているシリア。何かとニュースになることの多いこの国で、今回は日本人が拘束されたという事件が発生しました。
シリアのアレッポで「イスラム国」というイスラム教スンニ派過激組織によって、日本人男性の湯川遥菜氏が拘束されました。
では、なぜジャーナリストでない一般男性が「イスラム国」に拘束されることになったのでしょうか。
日本で事件が発覚
この事件が明らかになったのは、youtubeでした。湯川氏が尋問されている様子を撮った映像がyoutubeにアップされ、翌日に日本の報道機関がその映像を発見し、事件が発覚したのです。
湯川氏はスパイ!?
その映像で湯川氏は、出身地は日本、職業は写真家で医者であると述べています。しかし、「イスラム国」は湯川氏を「スパイ」であると認識しているようです。では、なぜそのような事態になってしまったのでしょうか。
その答えは、twitterにありました。「イスラム国」は始め、自分たちの主張をtwitterを利用して発信していたのですが、そのアカウントに彼が不利になるような情報が流されてしまいました。
民間軍事会社の代表であることに加え、湯川氏のブログにアップされていた銃を持った写真もtwitterに掲載されました。その写真が湯川氏は「スパイである」とのイスラム国の疑いを強くしていったのです。
そこで問題なのは、「スパイ」の条約上の扱いです。戦時中の捕虜の扱いが規定されているジュネーブ条約では、スパイと傭兵は保護の対象外であると規定されているために、「イスラム国」側がどのような行動に出るかが予想出来ません。
湯川氏の不可解な素性
twitterや湯川氏のブログによって次々と新たな事実が明らかになっていく中で、不可解な湯川氏の素性が露呈してきました。
湯川氏の現在の職業は、民間軍事会社の代表。しかし、会社としての活動はほとんど無く、実績作りのために戦場へと向かったようです。
さらに、湯川氏は過去にミリタリーショップを経営しており、軍事関連に興味を持つ素人なのでは?という認識が広まっています。
迷子になり、拘束
その後、湯川氏が拘束される経緯や動機が明らかになりました。湯川氏は、7月28日にシリアに入国しました。そして8月15日に「戦地を身をもって経験したい」との動機で写真撮影のために反体制武装組織に同行し、「イスラム国」側の激しい攻撃が続く中で反体制武装組織とはぐれ、拘束されたということです。
解放交渉は停滞
そんな危険な状況にさらされている湯川氏の今後はどうなるのでしょうか。
湯川氏の解放を巡って、反体制武装組織がイスラム国との交渉を進めようとしています。しかし、それに対してイスラム国は交渉を拒否し続けています。
というのも、湯川氏の拘束は「身代金」が目当ての犯行ではありません。湯川氏の捕虜としての利用価値を最大限に引き出すことが目的です。イスラム国は戦闘が続いていることを理由に交渉を拒否する等の行動をとっており、今後も交渉は長引くだろうと見られています。
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