現在、生活保護の不正受給者や就労や就学等を行なっていないニートが多く存在しています。そんな状況を生み出していると言える最低賃金と生活保護の「逆転現象」。今回はその逆転現象について解説して行きます。
先日、北海道で最低賃金が14円引き上げられることが決定しました。それにより、現在複数の地域で発生している最低賃金と生活保護の「逆転現象」が解消されることになります。
一見、たかが14円の引き上げと見えてしまう今回の北海道の決定ですが、実際はとても大きな問題の解消へと繋がっているのです。
そもそも、最低賃金と生活保護の「逆転現象」とは、最低賃金で働いた人よりも生活保護で生活している人の方が多くの金額を貰える状況のことを指します。
この現象が起きてしまうと、働くよりも生活保護で生活した方が優遇されているとして不公平感を抱く人が現れます。その結果働く意欲がそがれてしまったり、働いたとしてもワーキングプア(働きながらに貧困である人)が発生してしまいます。
さらに、法律的な問題にも事態は発展します。最低賃金法には、最低賃金額が生活保護のバランスを取り、金額が生活保護よりも勝っていることが示されています。というのも、生活保護は自立の助長を目的の1つとしているため、働く意欲をそぐようなことがあってはならないからです。
そのため、最低賃金と生活保護の「逆転現象」はワーキングプアに繋がるだけでなく、最低賃金法や憲法に抵触する問題であるとして問題視されています。
そこで、今回北海道が最低賃金の引き上げを決定したのです。今までの北海道は11円の逆転現象が存在していました。つまり、14円引き上げられることによって3円ほど最低賃金が生活保護費を上回ることになりました。
一連の北海道の決定に対し、「なぜもっと多く引き上げないのか」と疑問に思うことでしょう。その理由としては、雇用者側の負担が考えられます。最低賃金を引き上げれば、雇用者は絶対にその金額を最低でも支払わなくてはならなくなります。金額を大幅に上げれば上げるほど、雇用者の負担が増えていくのです。その結果、雇用者が雇う従業員の数を減らすことになってしまっては意味がありません。つまり、今回の北海道の最低賃金引き上げは小さなように見えて、大きな変化なのです。
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