ライフステージの変化に伴い、会社の福利厚生が気になりだした人も多いのではないでしょうか。
本記事では、妊娠や出産、育児に関する福利厚生についてご紹介します。
将来に備えたい人や、子供のためにも福利厚生について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
- 妊娠にまつわる福利厚生事例
- 出産にまつわる福利厚生事例
- 育児に関する福利厚生
妊娠にまつわる福利厚生事例
近年日本では、成長戦略の中核として「女性の活躍」を掲げています。実際に、政府は女性活躍企業に対しては助成金のほか、国と自治体の受注機会を優先したり、税制面の優遇も検討していたりします。
女性が社会で活躍できるようになるのは喜ぶべきことです。しかし、大きなライフイベントが複数ある女性の活躍は、本当に社会に支えられているといえるのでしょうか。
働く女性にとって、人生の大きなライフイベントのひとつが出産、そして育児です。例えば、子供と過ごす時間を大切にしたいから職場を離れて出産・育児に専念する人もいるでしょう。また、産休後は職場に戻りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、保育所の待機児童問題や会社・職場の理解など、職場復帰に対して不安要素がたくさんあるのも事実です。
近年、大手企業を中心に、ダイバーシティや女性の働きやすさを目指す制度の整備が進められています。中には、今までとは違うユニークな制度を設けている企業もあります。
以下では、導入されつつある福利厚生制度の一部をご紹介します。女性だけでなく、男性も出産や育児に関わるもの。ぜひ、自社に導入されている福利厚生とあわせてご確認ください。
時差出勤
妊娠にまつわる福利厚生事例の1つ目は、時差出勤です。
満員電車ではたくさんの人がいるため、お腹に衝撃を受けたり、転倒してしまったりすることもあるでしょう。また、つわりの時期では人が多いだけで気持ちが悪くなることもあります。
株式会社セプティーニでは、妊娠中の社員の通勤負担を緩和するために、妊娠発覚後から出産予定日の42日前まで、始業10時・終業19時の時差出勤が認められています。
妊娠中にも安心して出勤するための理想的な福利厚生といえるでしょう。
妊活休暇
妊娠にまつわる福利厚生事例の2つ目は、妊活休暇です。
現在では、不妊治療を行っているカップルも増えています。不妊治療にはいくつかの種類がありますが、場合によっては通院スケジュールを組みづらかったり、連日通院する可能性があったりするなど、仕事とのバランスをとるのが難しいのが現状です。
サイバーエージェントは、女性が出産・育児を経ても働き続けられる職場環境の向上を目指した「macalon(マカロン)パッケージ」という制度を導入しました。
その中の「妊活休暇」は、不妊治療中の女性社員が治療のための通院等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇があります。急な通院や体調等に考慮し、当日取得が可能です。
また、妊活に興味がある社員や、将来の妊娠に不安がある社員が、専門家に月1回30分の個別カウンセリングで相談できる「妊活コンシェル」制度もあります。
妊活は女性・男性共に病院に通院する機会も多くなるものです。「病気ではないのに休むのは申し訳ない」「頻繁に休むと、周りの目が心配」など気になるケースが多い中、会社が妊活をサポートしてくれる体制が整っていると心強いですね。
妊活についての福利厚生がない場合は、上司に妊活についての理解を得てもらえるよう、相談しておくことも一案です。
出産にまつわる福利厚生事例
女性にとって妊娠・出産は、体や心に大きく負担をかける期間です。特に産後の体は、「全治1ヵ月の事故に相当する」ともいわれています。
産後の疲弊した体ですぐに仕事に復帰することを不安に思う人も多いでしょう。
以下では、出産にまつわる福利厚生事例をご紹介します。
産前・産後休暇
出産にまつわる1つ目の福利厚生事例は、産前・産後休暇です。
出産の準備や、出産後の体調を回復させるためにも産前・産後休暇は、労働基準法にも定められた休暇です。産前は6週間前、産後は8週間後まで就業させてはならないと規定されています。
また、上記で定められた期間はあくまでも労働基準法によって定められた最低限の期間のため、企業によっては産後休暇が8週間以上認められているケースもあります。
資生堂は、子どもが満3歳になるまで、通算5年まで取得可能です。顧客の多くが女性であり、管理職を含め女性が多く働く企業ならではの出産・育児に関する制度が充実しており、産前産後休暇・育児休業後の復職率・定着率も高い傾向があります。
育児に関する福利厚生
出産はゴールではなく、育児の始まりです。慣れない育児によって自分やパートナーの体力を削り、いつも通りの仕事ができないという状態になる可能性があります。
そんなときに役に立つのが育児に関する福利厚生です。
以下では育児に関する福利厚生についてご紹介します。
時短勤務事例
育児に関する1つ目の福利厚生は、時短勤務です。
子供が産まれたら、子供と過ごす時間を大切にしたいという人も多いでしょう。働きつつ子供と過ごす時間を確保したい人に役に立つのが時短勤務です。
富士通エフ・アイ・ピーでは、子供が小学校を卒業するまでは1日6時間もしくは7時間勤務が可能な短時間勤務のほか、短時間勤務の場合、子供の発熱のように突発的に保育所から緊急の要請がある場合、積立休暇を1時間単位の時間取得が可能です。
託児所
育児に関する2つ目の福利厚生は、託児所です。
産休後、職場復帰にあたって大きな壁となるのが保育園・託児所問題です。なかなか保育園や託児所に入れないという人もいるでしょう。
GMOインターネットでは、働くパパ・ママのための社内託児所「キッズルーム GMO Bears」を設置しました。0歳から6歳までの子どもを預けられ、タオルやおむつなどが完備されていて、少ない荷物で登園が可能です。
また、 ニトリでも提携託児所の優待利用や福利厚生代行企業と契約を結び、提携する全国の託児所やベビーシッター、子供教室などを割引料金で利用可能といった福利厚生が採用されています。
カムバック制度
育児に関する3つ目の福利厚生は、カムバック制度です。
フロンティアでは、結婚・出産で一度休職した場合、1年以内の復帰であれば、基本給を保証してくれる「カムバック制度」を設けています。
出産祝金制度
育児に関する4つ目の福利厚生は、出産祝金制度です。
CROOZでは、年1回子供の誕生日に30万円を進呈し、子供が満4歳の誕生日を迎えるまで(計120万円)進呈し、復職をサポートする「ママサポ」という制度があります。
出産や育児はお金がかかるものなので、出産祝金がもらえるのは嬉しく感じる人も多いのではないでしょうか。
海外での福利厚生事例
「日本は、海外と比べて福利厚生の制度整備が遅れている」といわれているのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、あまり海外の福利厚生の事情を知っている人は少ないでしょう。以下では、海外での福利厚生事例をご紹介します。
制度が充実した国のベスト4として、下記の国が挙げられています。
・スウェーデン
産休60週間・産休中の手当は給料の80%。
・デンマーク
産休52週間・産休中の手当は給料の100%。
・セルビア
産休52週間・産休中の手当は給料の100%。
・カナダ
産休50週間・産休中の手当は給料の45%。
出典: 日本の産休制度は世界と比べると?インフォグラフィックで読み解く世界 ...
上記は福利厚生の制度が充実した国の例です。悲しいことに、日本は他の国と比べ福利厚生が少ないようです。
ただ、海外との比較は文化の違いがあるのも否めません。日本で働く人たちが働きやすいように、日本の制度が整えていくように働きかける必要があります。
将来出産・育児を希望する人で、働く環境を気にする人も増えてきているでしょう。ただ、就職・転職で企業を選択する際に、将来的な働きやすさのみで仕事を選択するのはリスキーな一面もあります。
将来的な働きやすさというのは、ある一定の年齢で多かれ少なかれ意識することです。しかし、そこに仕事に関する何かしらの「意思」や「やりがい」を感じないと、せっかく就職・転職をしても仕事を辞めたく思ってしまう可能性があります。
いくら制度が整っている会社に行っても、制度を活用する前に早々に退職するという結論に至っては意味がありません。それなら、「意思」や「やりがい」を見出せる仕事を見つけスキルアップしていくことで自身の価値を高めていくほうが、それが必要な年齢になったときに、自分にとっていい結論を見出せるのではないのでしょうか。
就職先を今から選ぶ人は、会社の福利厚生と自分のやりたいことを考慮に入れて選ぶことをおすすめします。
ライフイベントに関する福利厚生制度について理解しておこう
- 時差出勤や妊活休暇のように、妊娠を支援する福利厚生がある
- 時短勤務や託児所のように男性が育児に参加する機会を増やせる福利厚生がある
- 日本は海外と比べると、制度は遅れているが、今ある制度を活かして上手に使う
妊娠・出産・育児は女性にとってはもちろん、男性にとっても大きなライフイベントのひとつです。パートナーと共に子育てをするためには、福利厚生を十分に活用必要があるでしょう。
本記事を参考に、パートナーや自分の会社の福利厚生を調べてみてはいかがでしょうか。
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