Googleの創業者、ラリー・ペイジ。世の中に様々なイノヴェイションを提案し、より豊かな生活をもたらすGoogleを生み出した彼が、今後目指すGoogleの取り組み、そして、社会に対してインパクトがあるイノヴェイションを起こすための秘訣について語ります。
ここでは、アメリカで著名なインタビュアーとして知られる、チャーリー・ローズとGoogleの創業者であるラリー・ペイジの対談を書き起こしていきます。
【スピーカー】
インタビュアー チャーリー・ローズ氏
Google創業者 ラリー・ペイジ氏
【見出し一覧】
・検索のエンジンの完成こそが、Googleの目指すべき未来
・ゲームをクリアし、猫を認知できるまで進化した人工知能
・テクノロジーと情報が人々の生き方を180度変える
・いい情報「だけ」を共有できる世界を作りたい
・車が自動運転になり、自転車が空中を走る時代がすぐそこに
・誰もやらないことに取り組まなければイノヴェイションはない
【動画】
検索のエンジンの完成こそが、Googleの目指すべき未来
チャーリー・ローズ氏(以下、ローズ):これからインターネットとGoogleの話をし、それから検索技術とプライバシーの話をしたいと思います。そして、これまでの仕事でどうやって点と点を繋げてきたのかという仕事の哲学や、あなたの始めた仕事の旅路について、どうして興味深い展望が開けるようになったのかということについて、主にGoogleの目指す未来について話を聞いていきましょう。
最初の質問ですが、Googleは今どこにいて、どこへ向かっているのでしょう?
ラリー・ペイジ氏(以下、ペイジ):それは我々もよく考えます。かなり昔、私達が定めたミッションは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」でしたが、現在でもミッションについては良く聞かれることがあります。今Googleがやっていることもミッション通りなのかと。私もよくそれを自問しますが、自分でも分かりません。ただ実際、検索について考える時、それは私達にとってとても深い意味を持っています。自分が何を求めているのかを理解して、世界の情報を理解する、Googleはその出発地点にいる。本当にクレイジーなことです。我々は検索に15年取り組んできましたが、全く完成に近づいていないんです。
ローズ:検索エンジンが完成したときには、どんなものが出来上がるのですか?
ペイジ:検索エンジンは、何故完成していないんでしょう?その理由の大半は、コンピューターがダメだからです。コンピューターは、ユーザーがどこにいるか、何をしているか、何を知っているか分かっていません。私達が最近取り組んでいることは、デバイスを使えるものにして、ユーザーのコンテクストを理解させることです。「Google Now」は、ユーザーの現在地を知っていて、ユーザーが必要なものを把握しています。でも、本当にコンピューターが機能し、ユーザーと情報を理解するところには至っていません。まだまだ洗練されていないのです。
ゲームをクリアし、猫を認知できるまで進化した人工知能
ローズ:今のGoogleが取り組んでいることの中で、「ディープマインド」(2014年にGoogleが買収した人工知能の研究開発企業)はどこに当てはまるんですか?
ペイジ:まず買収の経緯ですが、それは検索について考えていたところから説明する必要があります。検索は、周辺の世界について全てを理解しようとする行為であり、コンピューターをより洗練させ、ユーザーを本当に理解させることだと考えています。
例えば、声による検索は重要ですが、今の音声認識技術はどうでしょう?あまり精度が良くありませんよね。ユーザーの発音をちゃんと認識してくれません。そのため、私達はそれを改善すべく機械学習を研究し始め、既に結果が出てきています。
また、私達はYouTubeのような映像に目を向けました。YouTubeをコンピューターに学習させてみたのです。すると、コンピューターが自分で「猫というもの」を発見したんです。これには重大な意味があると気付きました。私達が「猫というもの」を発見し、学べるということは非常に重要だからです。
ディープマインドが開発した人工知能の本当に驚くべきところは、自ら学び取れるということです。ビデオゲームの遊び方の学習から始めたましたが、ゲームをプレイしながら自動的に遊び方を覚えてしまうんです。
ローズ:この映像を見て下さい。コンピューターが凄い事を出来るようになる様子がこちらです。
ペイジ:驚くべきことに、人工知能は私達が見るのと同じピクセルを見て、ゲームを操作し、スコアを上げて、同じ1つのプログラムで様々なゲームを覚えたのです。しかも、人間を超えたレベルでプレイできるようになりました。今までコンピューターではこのようなことは出来ませんでした.
少し説明すると、ゲームではボクシングをしています。人工知能は、対戦相手をくぎ付けにする方法を見つけ出します。左が敵のコンピューターで、スコアがどんどん上がっています。
このような人工知能が、スケジュール管理や必要な情報提供の機能として組み込まれることを想像してみてください。私達がいるのはまだスタート地点ですが、非常にワクワクしているところです。
ローズ:人工知能がボクシングゲームをクリアしたことを見ると、私達の向かう先には確かに人工知能があるようですね。我々は、人工知能の進化の道のりのどの辺りにいるのでしょう?
ペイジ:これは久しくなかったような非常にエキサイティングなことです。ディープマインドを立ち上げたデミスは、神経科学と情報工学を学び、さらに脳科学の博士号を取るために復学もしています。こうした神経科学と情報工学の交わる部分で、知的なものを作り出し、面白いことをさせるには何が必要なのか、数々の研究が行われています。
ローズ:今、プロジェクトはどういう段階で、どれくらいの早さで進んでいるのでしょうか?
ペイジ:今お見せした、YouTubeで猫のようなものを理解することや、音声認識を改善することが最新の技術です。これまでの機械学習では、物事を徐々に改善していくことしかできませんでしたが、さきほどの例はとてもエキサイティングです。1つのプログラムだけで多様なことをやってのけるのですから。
ローズ:それでは、人工知能がイメージした猫画像をご覧に入れたいと思います。これはコンピューターが猫を観察し、猫とは何かをイメージしたものです。その画像はこちらです。
ローズ:猫が見えますか?コンピュータが捉え描いた猫の概念です。
ペイジ:この絵は、コンピュータがYouTubeを見て学習したものです。猫が何かも知らずに描いたものとなります。この「猫」という概念は、人なら理解できるものですが、今やコンピューターも理解し始めています。
テクノロジーと情報が人々の生き方を180度変える
ペイジ:ここまで、私たちは検索から出発して、人々のコンテクストや情報を理解しようとしてきました。それに関してご覧頂きたい映像があります。私たちの見つけたものです。
(以下、映像)
ザック・マテレ(ケニアの農夫):以前、ジャガイモを畑に植えたんですが、突然次々と枯れはじめ、本で調べても理由が分かりませんでした。そこで、出かけて行ってコンピューターで検索してみたんです。あるウェブサイトが、アリが原因かもしれないと教えてくれました。書いてある通り、木を燃やした灰をまくと、数日後アリは消えていました。そこでインターネットの凄さを感じました。
また、事業を拡大したいと思っている友達がいるのですが、彼とインターネットカフェに行って、一緒にいろんなウェブサイトを見ました。その次に彼と会った時、彼は風車を地元の学校に作ろうとしていました。これまででは想像すら出来なかったものが、突然地元の学校にできたことを誇らしく感じました。
しかし、誰もがインターネットにアクセス出来る訳ではないということに気付いて、私の祖母でも使えるようなインターネット環境が必要だと思いました。そこで掲示板を思いつきました。簡単な木の掲示板です。電話で情報を受け取ると、その掲示板に情報を貼り出すんです。それは、基本的にはコンピューターの代わりになるものです。
私は、インターネットを人助けのために使います。自分や身近な人のために、生活をよりよくする方法を探しているんです。
多くの人が情報へアクセス出来ますが、その後に生かすことができません。その後に生かすために必要なのが、知識だと思います。知識を手にすれば、誰かに助けてもらわなくても自分達で解決策を見つけ出すことができます。情報には力があります。情報をどう使うかで私達の生き方は決まるのです。
(映像はここまで)
ペイジ:この映像の凄いところは、彼の話をネットの記事で読み、そこから彼を見つけ出し映像を作ったということです。
ローズ:あなたの話題になると、「ペイジは世界を変えたいんだ。テクノロジーがその鍵だと彼は信じている」と言います。世界を変えるには、インターネット、そして言語を使うのですが、それは人々がいかにネットにアクセスし、自らのコミュニティに影響を及ぼせるかということでもあります。あの映像はまさにその一例ですね。
ペイジ:はい、その通りです。未来を見据えたとき、情報のアクセスにより重点を置くようになって、最近「Projcet Loon(プロジェクト ルーン)」というものを立ち上げました。私達は、気球を使って計画を実現しようとしています。映像をお見せしましょう。世界の3人に2人は、インターネットにアクセスできません。私達は、このプロジェクトが低コストで、かつインターネットにアクセス出来ない人の役に立つと考えています。
ローズ:気球ですね。
ペイジ:ええ、気球でネットのアクセスを提供するんです。
ローズ:どうして気球を使うとインターネットにアクセスできるんでしょう?気球をどこかに繋がなくてもよくするための興味深い仕組みがあると伺いましたが。
ペイジ:これはイノヴェイションの良い例ですね。私達は、このアイデアに実際に手をつけるまでに5年以上、考えを温めてきました。そのアイデアの原点は、「アクセスポイントをどうやって低コストで高所に配置できるか?」ということです。通常は人工衛星を使いますが、打ち上げるまでに長い時間がかかります。私達の計画で気球を上げるのが、いかに簡単かご覧頂きましたが、これもインターネットのお陰なんです。気球を上げる方法は、ネットで検索していて見つけました。3、40年前に誰かが気球を上げて、地球を何周もしたそうです。今の我々に同じことが出来ない訳がないと思いました。それがこのプロジェクトのきっかけです。
ローズ:でも風の影響を受けてしまいますよね?
ペイジ:はい、受けてしまいます。しかし、これまでに前例のない規模で気候シミュレーションをした結果、気球の高度を空気の出し入れなどでうまく制御してあげると、気球の行き先を大まかに制御できることが分かったんです。たくさんの気球を使うことで、地球全体を覆う通信網を作ることができると考えています。
いい情報「だけ」を共有できる世界を作りたい
ローズ:これから未来の交通について、お話を伺いたいと思いますが、その前に元CIA臨時職員のエドワード・スノーデンの登場で話題になったことに触れましょう。セキュリティとプライバシーです。これについては、長い間考えているのではないですか?
ペイジ:もちろんです。私にとってプライバシーとセキュリティは重要な関心事です。私達はこの2つを同時に考えております。プライバシーはセキュリティなしでは成立しません。ですから、セキュリティの話からまず始め、スノーデンの話も絡めながらプライバシーに触れていこうと思います。
私は、政府が秘密裏に通信を監視していて、我々には知らせずにいたということに対して、非常にがっかりしています。我々が聞いたこともない政府の活動から、みんなを守らなければならないとしたら、民主主義なんか成り立ちません。具体的なテロの情報を知る必要があるというのではなく、どういう要因があり、どの程度の範囲でどのような監視を我々は政府から受けているか、知る必要があるということです。監視の範囲について、開かれた議論がなされていません。結果として、政府はこの一連の事象を全て秘密裏に運んでしまったことが、アダになったと思います。
ローズ:一度もGoogleに相談に来たりはしなかったということですか?
ペイジ:Googleに相談するのではなく、公にこれを話し合うべきです。そうでなければ民主主義は機能しません。秘密裏に画策することは無理ですよ。Googleが、誰も知らない政府の秘密裏の監視からユーザーを守らなければいけない立場になったというのが残念です。全く滅茶苦茶な話です。
ローズ:ここまではセキュリティの話でしたが、プライバシーに関して伺ってもいいでしょうか?。
ペイジ:プライバシーについては、状況が変わりつつあります。みんな携帯電話を持っているため、現在地が分かってしまいます。現代では個人情報が大量にあり、それは重要なことです。人々がプライバシーに関して、難しい議論をしているのも当然なことだと思います。私達はプライバシーについて多くの時間を費やして、何が問題なのかを考えてきました。
まず、私達がすべきことは検索履歴や位置情報など、どんな情報が収集されているのかをユーザーに知らせて、選択肢を与えることだと思います。Google Chromeのシークレットモードは素晴らしいものです。情報を与えるのか、与えないのか、選択肢をもっと人々に提供したく、プライバシーについても知って欲しいと思います。それは難しいことではありません。私が懸念しているのは、大切な物を無用なものと一緒に捨ててしまうということです。
例えば、私は声がかすれてしまう病気にかかり、回復していません。私がこの病気のことを公にしたとき、たくさんの情報が集まってきました。似たような病気を患う人たちに症状についてのアンケートを取ったのですが、医療記録を見ていて思いました。素晴らしいことじゃないか、もし皆の医療記録が匿名で、研究のために共有されるようになったらどうなるだろう?自分の医療記録に研究医がアクセスすると、どの医師が、何故アクセスしたのか、本人も知ることができて、自分の症状が何の病気なのか分かるようになるかも知れません。そうなれば、毎年10万人もの命を救えることでしょう。
ローズ:確かにそうなりますね。
ペイジ:ですから、私が懸念していることは、インターネットの情報保護により、今の医療記録のように大事なデータが埋もれてしまう恐れがあるということです。
私達はいまだに、情報を正しく共有することでどれほどの恩恵が得られるか、十分には分かっていないのです。
ローズ:そのために必要となる条件は、自分の情報が悪用されないと確信を持てる環境を作ることですね。
ペイジ:はい。声がかすれてしまう病気を患ったとき、情報を公にするのは怖かったですが、セルゲイの進言もあり、実際やってみると素晴らしいことが起こりました。
ローズ:周囲の反応は予想以上だったということですね。
ペイジ:皆とてもポジティブでした。何千もの人々が同じような症状を抱えていますが、現在、病気についての情報は多くありません。共有して良かったと思っています。
車が自動運転になり、自転車が空中を走る時代がすぐそこに
ローズ:未来の交通についてですが、交通システムについてどういう取り組みをGoogleでは行っていますか?
ペイジ:ミシガン大学にいた頃から不満を抱き続けていました。バスに乗るために、寒い雪の中で待たなければならなかったので、どれくらいのコストがかかるのか調べ始めているうちに、交通システムにハマってしまいました。
ローズ:それで自動で運転してくれる自動車のアイデアが浮かんだんですね。
ペイジ:18年前に自動運転車を開発している人々に夢中になりました。実際にプロジェクトを始めるまでにはしばらく時間がかかりましたが、今は世界を良く出来るかもしれない可能性にとても興奮しています。毎年2千万人以上の人が交通事故に遭い、34才未満のアメリカ人の主な死因は交通事故なんです。
ローズ:つまり多くの人の命を救いたいということですか。
ペイジ:はい。それに空間を上手に利用し、暮らしを豊かにすることができます。ロサンゼルスの半分は、駐車場や道路に費やされています。面積の半分も使われているのです。他の都市の多くもそう変わりません。馬鹿げています。それが私達の空間の使い方なんです。
ローズ:自動運転車は、いつ頃に実現しそうですか?
ペイジ:実現はすぐそこまで来ています。16万km以上もテスト走行していて、もはや完全に自動運転ができる状態になっています。自動運転車を早く世に出せることが嬉しいです。
ローズ:でも、自動運転車のアイデアだけではありませんよね。自転車についてのアイデアもおありだとか。
ペイジ:はい。Googleでは、みんなに無料で自転車を提供すべきだという話になって、今まで無料提供は本当に上手くいっています。自転車が至る所で走り回り、一日中使われているのですからね。
ローズ:自転車を道路ではなく、空中に走らせたいと思っているそうですね。
ペイジ:はい。どうしたら人々がもっと自転車を使い出すだろうかと考えているところです。
ローズ:映像がありましたね。
ペイジ:これはワクワクしますよ。自転車を低いコストで車道から切り離すアイデアです。一見おかしな映像に見えますが、Google Campus(コワーキングスペース)のことを考えたときや、市の当局と働いたとき、自転車の使用率を上げたいと思い、アイデアを着想しました。どうしたらコストをかけずに、自転車と車を切り離せるだろうかと検索して見つけたんです。実際に実用化に向けて進めているというわけではありませんが、想像力を掻き立ててくれます。
発明するだけでは意味がない。実現してやっと価値がある
ローズ:では最後に、あなたご自身の哲学について教えて下さい。あなたには「Google X」というアイデアがあり、スケールの大きい進歩を求めているそうですね。
ペイジ:今お話したことのほとんどが「Google X」に当たります。例えば、経済学で「追加性」という概念があります。追加性とは、自分が始めなければこの世に存在しなかったことを行っているということです。追加性があることを多くやっていけば、より社会に大きなインパクトをもたらすことが出来ます。人々ができないと思っていることを実現するということです。
これまでずっと、テクノロジーを知れば知るほど、知らないことの多さに気付かされてきました。なぜなら、テクノロジーの地平線に次にすべきことが見えてくるからです。テクノロジーについて学べば学ぶほど、新しくできることが分かるようになるのです。
例えば、あの気球のプロジェクトが実現出来ると分かったのも、その為に使える要素について知ることができたからです。
ローズ:不可能なことを実現することが、あなたの興味深いと思うところです。未来についてアイデアを示す人はたくさんいますが、アイデアを実現し、形にする人はなかなかいません。テスラ(ニコラ・テスラ。エジソンの影に隠れる形で長年評価されなかった発明家)の例があります。テスラのような人について、あなたが考えているのはどのようなことなのでしょう?
ペイジ:発明だけでは十分ではないのです。テスラは、私達が日常使う電力の発明をしましたが、世に出すことに苦労しました。世に出す部分に関しては他の人により成され、時間がかかりました。もし、革新や発明の力と、商用化し、人々のもとに届けるという力が結びついたなら、それは世界にとってプラスになり、人々に希望をもたらします。
私はProject Loonが、世界中の3分の2を占めるインターネット環境が無い人々に、期待と希望を与えていることに感動しています。
ローズ:人々に希望をもたらすことは、利益を追求する企業のもう一つの側面と言えますね。あなたは、うまく経営されている企業が変革の担い手であると信じていると思いますが、いかがでしょうか?
ペイジ:はい。多くの人が、企業は基本的に悪いものだと考えていることは残念です。企業は、いわれのない非難を受けます。企業は、長い期間ゆっくりと同じ仕事を続けています。私達に必要なのは、そういったゆっくりとした変化ではなく、革新的な変化を特にテクノロジーにおいては必要とします。
ローズ:あなたは以前、こう言いましたね。「財産を誰かのために残すとしたら、寄付するよりもイーロン・マスク(PayPalの創業者。現在はSpaceXにてロケットを開発)に譲ってしまうだろう」と。彼なら未来を変えてくれると信じているから、全額譲ってしまうだろうと。
ペイジ:彼は、本気で火星に行きたいと考えてます。人類存続の為に。それは崇高な目標です。企業でありながら、社会に対して善を成すことを目指しています。私達は、同じような目的を共有しています。Googleには裕福な社員がたくさんいます。テクノロジー分野でたいへん利益を上げています。この会場にいる人も裕福な方が多いでしょう。でも、世界を変えたいから働くのではないのですか?あなたの労働には、世界をより良くするための時間やお金を費やす価値があってもいいのではないでしょうか。しかし、今は社会を良くすることについては、ほとんど考えられていません。会社は、社会に対して貢献するものだとは考えられていないのです。それは残念なことです。会社は私達の労力や時間のほとんど、そしてお金が投じられている場所ですから、もっと企業を援助してもいいと思うのです。
誰もやらないことに取り組まなければイノヴェイションはない
ローズ:最後に、よくインタビューを終える時にこの質問をするのですが、どんな心のあり方があなたを成功させたと思いますか?たとえば、ルパート・マードック(21世紀フォックス・現CEO)は、好奇心だと言いました。他にもメディア業界の人は、好奇心と答える方が多くいました。ビル・ゲイツ(Microsoft創業者)とウォーレン・バフェット(世界最強と呼ばれる投資家)は、集中だと言いました。あなたの場合は、何があなたに未来を見せ、同時に現在を改革するように仕向けたのでしょう?
ペイジ:たぶん最も大切なことは、たくさんの会社を見てきて、なぜ長続きしないのかを考えてきたことではないでしょうか。多くの会社が現れては消えていきましたが、彼らは何を間違ったんだろう?と考えました。消えてしまう会社が共通して犯している間違いは、多くの場合、未来を見通していなかったということに尽きます。ですから、私は未来を見通すことに集中し、未来はどういうものになるか、どうやって私達は未来を創造できるかをまず考えています。そして、自分の会社についてですが、どうやったら未来のことに集中させることができるのか、未来の創造を促進できるのかについて考えています。だから1番大切なのは好奇心ですね。他の人が考えないことに目を向け、誰もやらないことをやってみること、そこに本当の価値があると思うからです。積極的に誰もやっていないことをやってみて、リスクを取るということです。
例えばAndroidですが、はじめはAndroidを手がけることを、後ろめたく感じていました。Androidを買収したときは小さなベンチャーにすぎず、私達が本来手がけるべきものではなかったので、Androidに時間を割くのは良くないことのように思えました。しかし、それは馬鹿な考えでした。そこに未来があったのです。Androidを手がけて良かったのです。
ローズ:あなたとこうしてお話出来て良かったです。ありがとうございました。
ペイジ:ありがとうございました。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう