先日、アメリカのたばこ会社に対して2兆円ものの損害賠償を求める裁判が起こされ、認められました。訴えを起こしたのは普通の一般女性。一体2兆円の損害とは、何をしでかしたんだこの会社は…と思ってしまいますが、そうではないのです。
女性の訴えは「私の夫があなたの会社のたばこを毎日吸っていたら、早死してしまった。責任をとって賠償をして下さい」というものです。私達の感覚では、到底理解できませんよね。なぜ、このたばこ会社はこのような評決をくだされてしまったのでしょうか?
たばこを吸ったり、コーヒーをこぼしただけで億万長者!?
まだ1審で、賠償が確定されたわけではありませんが、それにしても2兆円とは驚くべき数字です。
実は、高額な賠償が求められるのは、アメリカではめずらしくありません。コーヒーをこぼしただけで3億円の賠償を支払うよう陪審団が判決した事例が存在します。「マクドナルドコーヒー事件」と呼ばれるものです。その事件の概要はこうです。
高齢女性がマクドナルドで購入したコーヒーを膝にこぼしたことにより火傷を負い、女性がマクドナルドを訴えたところ、裁判所はマクドナルドに286万ドル(約3億円)の賠償金を支払うことを命じた事件です。しかし、最終的にこの裁判は60万ドルの和解金を支払うという形で収まりました。
アメリカには懲罰的損害賠償という制度があります。この制度によって、日本人からすればおかしな金額の賠償金の支払いが命じられるのです。
企業には損害賠償だけでは足りない?
懲罰的損害賠償とは、裁判所が加害者に対して実際の損害以上の金額を支払わせる賠償です。懲罰的に賠償金を払わせることによって、加害者に反省をさせたり事件の再発を防止することを図っています。今回の事件でいえば、裁判所の陪審団は実質的な損害は17億円であったとした上で、さらに懲罰として2兆3800億円を支払うよう評決を下したのです。
日本では懲罰的損害賠償の制度はなく、加害者が支払うのは損害賠償のみです。アメリカでは、特に企業を相手取った損害賠償請求の際に、通常の賠償だけでは企業にとって痛手が少なく、極端な話、損害賠償さえ支払えば何をしても良いということにつながりかねません。ですから、”懲罰的な”意味を込めて、通常の損害賠償とは別にとんでもない賠償金が課されることがあるのです。
とはいえ、もし懲罰的な賠償金を受け取れるということになったとしたら、企業にとって痛手を被る、つまり個人では到底手に入れることができないような金額のお金を手にすることができるわけですから、ちょっとうらやましい話ですね。
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