法人減税の余波で携帯がターゲット
安倍総理が6月13日、現在は35%の法人実効税率を、2015年度から数年かけて20%台に引き下げる意向を示し、先進国でも米国に次いで高かった日本の法人税が引き下げられる見通しになった。
しかし、法人税を1%引き下げると、4,700億円の減収といわれ、税率を5%切って20%台にするだけでも2兆数千億の減収になる。「損して得取れ」とばかりに企業活動を活発化させ経済のパイを大きくした結果として、増収を図ってはいるとはいえ、財政再建のために目下、消費増税中。財務省も政治家も取れるところから取るという知恵を絞り始めているわけだが、自民党内に浮上したのが携帯電話への課税だった。
自動車課税にヒント?議論紛糾か?
筆者がネットで調べた限りでは、携帯電話を保有すること自体に課税するというのは、世界的にもあまり見られないものらしい。とはいえ、日本で普及している携帯電話の数は1億3千9百万台(14年3月、電気通信事業者協会調べ)と人口をしのぐ規模だ。
しかし、これも一筋縄ではいかない議論だ。この記事を引用したブロガーのやまもといちろう氏は、中山議員が高級外車を何台も所有していることを報じた記事を紹介するなりして、庶民感覚の無さをちょっと煽り気味に強調しているのだが、それはともかく、我々利用者はすでに携帯で“課税”されているのだ。
通話料の明細に「ユニバーサルサービス制度」という項目を見たことがあるはずだ。これは「110番」等の緊急電話や公衆電話なども含めたライフラインとでも言うべき通信網が全国一律でサービスが提供できるよう、電気通信事業法により、通信事業者全体で応分に費用を出し合うことを求めた仕組みのことだ。
といってもその原資になるのは我々が支払う通話料だ。利用者の少ない田舎の通信網を維持するのに、我々はすでに強制的に徴収されてきたともいえる。また、放送局に割り当てたられた放送用の電波利用料の負担に比べ、携帯電話の電波利用料の負担が高すぎるという指摘もある。仮に携帯電話に課税するなら、テレビ局等に、もっと負担を求める声も上がるのは必至だ。
会計人も頭がイタイ負担増
会計士や税理士で、たとえば独立して間もない方は少しでも固定費を減らしたいところなのに通信関係の費用を増やすとなれば頭が痛い。事務所員に携帯を貸与している場合は費用もかかる。
もちろんクライアント企業でも同様だ。LINEの普及で、友人や同僚間の通話やチャットでの連絡にはお金がかからないと喜んでいた矢先で降って沸いた携帯電話課税構想。今後も、法人減税の余波で思わぬ負担を強いられる可能性がありそうだ。
カイケイ・ネットナビゲーターによるコメント
税金トークが活発になっていますね。幼少時には全く興味がなかったのに(消費税導入すら意味わからなかったのに)自身が納税者になるとこうも変わるもんなんですね。皆がもっと参加意識を持つべきですね。知らないところでどんどん決まっていってる感じ、怖いですね。動かないといけませんね。果たして僕達の今後に追い課税(風)は吹くのか!?(追い課税だったら吹いて欲しくないって話ですけどね・・・)
(カイケイ・ネットナビゲーター(MS-japanコンサルタント)石川 卓見)
(文=新田哲史)
<この記事は カイケイ・ネットが提供しています>
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