「この仕事やりたくないなー」と悶々としながらずるずる残業。あるいは「一限から出たくないなー」と甘えて朝寝坊。この時期、職場や学校に馴染めなかった人たちが発症しがちな“五月病”の典型例ですが、フレッシャーズならずとも 「どうもやる気が出ない」という人は少なくないのでは?
「でもそれ、あなたの精神がたるんでいるせいではありません」
そう慰めてくれるのは、東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二さん。池谷教授によると、そもそも脳というのは飽きっぽい性質を持っていて、どんなに新鮮な体験でもマンネリ化させ面倒くさく感じさせてしまうのだそうです。
「つまりやる気はなくて当たり前。やる気は出すものではなく、迎えに行くものなのです」
その具体的な手法をやさしく解説しているのが上大岡トメ氏との共著 『のうだま やる気の秘密』(幻冬舎)。同書によると、脳の中枢には淡蒼球(たんそうきゅう)という部位があり、やる気が出ている時はここが活性化するとのこと。ただし、ここは自分の意志では動かせない部位。しかし脳を上手に騙すことで起動させる=やる気を出すことができるというのです!
というわけで、この原稿を書く気がまったくない筆者が、『のうだま』に書かれてある4つのスイッチを試してみました。
スイッチその1「体を動かす」
脳の運動野を活性化することで、淡蒼球にはたらきかける作戦です。やり方は単純、とにかく体を動かすだけです。筆者の場合、普段は自宅でゴロゴロしながらやる気が出るのをじっと待っているのですが、思い切って外に出てみることにしました。
ちなみに先生によると、面白くなくても、眠くても、口角をあげて笑顔を作ると、自然と楽しい気分になってくるそうです。本当かな、と思いつつ 『キッパリ!』(上大岡トメ)のポーズを取る。
とにかくパソコンを持って外出しちゃったので、どこかで原稿を1本でも書き上げないと帰宅できない気がしてきました。
スイッチその2「いつもと違うことをする」
記憶や空間学習能力に関わる海馬を活性化させて、生きていくための意欲を司る前頭葉とともに活性化させることで、淡蒼球に刺激を与える作戦です。こう書くと難しいのですが、ようはマンネリ化を防ぐために新しい経験をしてみるだけです。今回は、近所だけど一度も通ったことのない路地を歩いてみることにしました。
すると、「あれ、こんなところに大使館があったんだ」と発見。他にも知らなかったお店や、珍名の表札など、たくさんの気づきがありました。頼まれてもいないのに、企画案もポンポンと思い浮かび…これからネタ出しは散歩しながらやろうかしら。
スイッチその3「なりきる」
これまた前頭葉を活性化して、淡蒼球を動かす作戦です。ダイエットなら理想のボディを思い描く、スポーツや音楽なら好きなプレイヤーと同じファッションに身を包むなど、目標になりきってしまうのです。
筆者も原宿のおしゃれカフェに入って、ドヤ顔でMacBookを開き、「ッターン!」と打鍵音けたたましく原稿を打ちまくり、エセノマドワーカーを気取ってみることにしました。
人も目もあり、また決して安くはないコーシー代の元も取らねばならず、仕事もはかどります。
スイッチその4「ご褒美を与える」
気持ちいいときに活性化するテグメンタから、淡蒼球を巻き込む作戦です。そのためには仕事や勉強の後にご褒美を与える。映画でいう「俺、この戦争が終わったら彼女と結婚するんだ」みたいな死亡フラグで不吉ですけどね。
今回は原稿を書き終えたら、ダイエットを忘れてアイスを食べるぞ!と設定してみました。そこで、さりげなくチェリオが出てくるのは大人の事情ですのでお気になさらず。みなさんも「この仕事が終わったらビール」「朝、早めに学校に行ってモーニングを食べる」などと設定すると良いでしょう。もっとも、飲み食いばかりしているとダイエットという別の目標と相反するので、時にはバッティングしないご褒美設定も必要です。
というわけで、マンネリ化した生活を送っていると、やる気なんていつまでも出ないことがわかった『のうだま』体験。スイッチはひとつだけでも、組み合わせでもけっこうですので、自分にあった方法で、あなたの脳からやる気を引きずりだしてみてはいかがでしょうか。
(熊山准)
<この記事は チェリオ おやつハッカーが提供しています>
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