ブランディングとは、それまでブランドと認識されていなかったような企業、商品を顧客にとって価値があるものという認識を高めることによって、ブランドとして成長させていくマーケティング手法です。
いわばブランドではないものを「ブランド化」していくことで、広く認知度を高めることであると言っていいでしょう。ここでは、そのブランディングによって成功した事例を見ていきます。
1. 上海生煎館
一つ目のブランディング事例は、なんのことはない一般メニューをブランド化することに成功した例です。数年前「焼き小籠包」という中華点心が首都圏で大変なブームになり、渋谷・上野・池袋などに相次いで上海生煎館の店舗が出店されて、行列ができるということがありました。
実はこの「焼き小籠包」は店舗の名称にもあるように「生煎包」という上海ではごくありふれた点心の一つです。日本では既に小籠包の認知度は高く、中華点心の代表であるかのような扱いになっています。
しかし、それに対して「生煎包」の認知度は日本では、ほとんどないと言っていいでしょう。「焼き小籠包」がブームになり、一定の認知度を得たであろう今日でも、それが実は「生煎包」であるという認識はありません。
ですから、おそらく本来の「生煎包」という名称で売ったならば確実にブームになることはなかったはずです。ところが、本来の生煎包を小籠包ぐらいのサイズにして、小籠包のようにスープが出るような作り方をし、あたかも「あの小籠包」を焼いたものであるかのようにして売り出したところ、行列ができるまでの人気商品となり、「焼き小籠包」は一つのブランドとなりました。
2. モスバーガー
二つ目のブランディング事例は、大企業とは違う独自のニッチ戦略で成功した事例です。モスバーガーはわずか3人の創業者によって始められたベンチャー企業でした。かなり後発のイメージもあるかもしれませんが、1号店のオープンはマクドナルド日本1号店オープンの翌年、1972年です。
モスバーガーは、鳴り物入りで日本に進出し、急速に拡大していくマクドナルドと正面から対決することはせず、ベンチャーらしい独自路線をとっていきました。当時のマクドナルドは作り置きスタイルで、店頭で注文すればほとんど待つことがなくハンバーガーを購入できました。
それに対して、モスバーガーは注文してから作るというスタイルをとり、表通りや駅前の一等地ではなく、商店街の路地裏や住宅地などに出店しました。また、商品単価も当初よりマクドナルドよりも高めに設定してあったのです。
その代わり品質は高く保つようにし、野菜などは生産者の名前を店頭に表示するといった工夫をするとともに、ライスバーガーのような独特な商品戦略もおこなっていきました。その結果、マクドナルドよりも高いけれど、一段おいしいハンバーガーを食べられる店であるというブランドを確立するに至りました。
3. ホクト
三つ目のブランディング事例は、苦心の研究により大量生産を実現して成功した例です。キノコの栽培と販売で有名なホクトは、もともとは食品包装資材でしたが、キノコ生産にシフトしたのち創業者の水野正幸氏が自らキノコの栽培を研究。
苦心の末、それまでは「見つけられたら喜びで舞い踊る」ほど珍しいキノコだったマイタケをはじめ、ブナシメジやエリンギなどの大量生産を実現し、通年安価なキノコを流通できるようになりました。
また「キノコノコノコ元気な子」というCMは脚光をあび、一躍「キノコといえばホクト」というブランドイメージを確立することができたのです。
以上、ブランディングに成功した企業の事例を紹介してきました。莫大な予算を使って派手な広告なCMを打たずとも、顧客を獲得することはできます。コストをかけず顧客を獲得するためにも、ここで紹介した3社を参考にブランディング戦略を実践してみてはいかがでしょうか。
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