ビジネスシーンでは、個人においても所属する部署や会社全体にとっても、現状を把握し、その先に進む戦略を立てるためには分析が必要です。その分析を行うための分析力には何が求められているか?売り上げを伸ばしたい一軒のパン屋さんを例に見てみましょう。
1. 分ける力
「分析」ということばの意味を『広辞苑』で見ると「ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。」とあります。つまり、求められる分析力の一つは、全体からそれぞれの要素を「分けられる」力です。
パン屋さんなら、立地条件・1日の平均来客数・全体の売り上げ・商品構成などでしょう。それぞれの要素を分けたら、そこからさらに細分化します。例えば客層・商品の中で売れているものと売れていないもの・来客が多い時間帯などです。「売り上げを伸ばしたい」という目的のために、必要な要素をいかに切り分けられるかが分析の第一歩です。
2. 組み合わせる力
いくつかのカテゴリーに分けることができたら、こんどはそれを組み合わせて分析します。例えば全体の売り上げの中で、多数を占めている客層はどれか、多数を占めている客層が好む商品カテゴリーは菓子パンか惣菜パンか、午前に売れる商品の傾向と午後に売れる商品の傾向は何かなど、分けたものを組み合わせて考えると、その組み合わせの分多くの情報を得ることができるでしょう。
ただ、これは網羅的に組み合わせればいいという話ではなく、最初に切り分けたデータから目的に応じた組み合わせをしなければなりません。それは、来客数を伸ばしたいのか、客単価を上げたいのかなど、個々の目的によって変わります。
3. 違う角度からみる力
一方的な角度から情報を見ると、見誤ることがあります。仕事に求められるのは、情報を多角的に見られる分析力です。
具体的には、例えば月の売り上げから見て一見あまり売れていないような一連の商品があったとしても、それを「売れない商品」と切り捨てず、一日ごとの売り上げ数に視点を変えてみてみます。すると、その中には売れる数は少なくても、売り上げ数の変動幅が小さく、コンスタントに一定量売れている商品があるかもしれません。その場合、顧客全体には人気がないものでも、一定数の固定ファンがある商品である可能性が見えてきます。
4. 結論を出せる力
分析するのはなぜかというと、ただ分析して「ふーん」と感心するためではありません。分析により得られた情報から、何をどうするのかという結論を出さなければなりません。
例えば、分析の結果菓子パンより惣菜パンのほうが売れていなかったとして、今後惣菜パンを切り捨てるか、それとも一定の固定客のために数量を減らしながらも存続させるか、昼より夜が弱いことが分かったら、夜の販売を縮小して昼により力を入れるか、それとも夜も伸ばすための商品開発をするか、といったことです。
以上、一軒のパン屋を参考に「分析力」必要なことを紹介してきました。仕事に求められている分析力とは、情報を分別でき、何がいるものかを様々な角度からみて取捨選択できる「整理整頓できる力」であるといえるでしょう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう