自分の会社や相手の会社を表す言葉がたくさんあって混乱してしまっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、「弊社・当社」「御社・貴社」の正しい使い方を詳しく解説します。
迷わずに正しい言葉遣いをできるようになりたい人はぜひ参考にしてください。
- まず知っておきたい敬語の種類
- 「弊社・当社」の正しい使い方と例文
- 「御社・貴社」の正しい使い方と例文
まず知っておきたい敬語の種類
「弊社・当社」「御社・貴社」の違いについて解説をする前に、まずは敬語の種類から確認してみましょう。
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類あることを知っている人は多いのではないでしょうか。
尊敬語とは、相手を自分より上に置き、敬意を払う言葉です。例えば「おっしゃる」「ご覧になる」「お聞きになる」などがあります。
謙譲語は、相手の位置はそのままにして、自分を下にさげることによって、結果的に相手を自分より上の立場に置く言葉です。例えば「申し上げる」「拝見する」「拝聴する」などがあります。
丁寧語は、です・ます・ございますのような文章自体を丁寧にする言葉です。
「おっしゃる」「申し上げる」などの動詞の尊敬語・謙譲語は日々の生活で聞いたり、使ったりしてきた経験もあり、慣れ親しんでいる人も多いのではないでしょうか。
しかし、「弊社・当社」「御社・貴社」などの名詞の尊敬語・謙譲語は、社会人になって初めて使う言葉なので戸惑いを感じる人も多いでしょう。
では次に、「弊社・当社」「御社・貴社」を詳しく確認していきましょう。
「弊社・当社」の正しい使い方と例文
「弊社・当社」は、どちらも自分の会社を表す言葉です。どのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。
「弊社」は謙譲語・社外向け
まずは、「弊社」の意味と使い方をご紹介します。
「弊社(へいしゃ)」は、社外の人に対して自分の会社のことを指す言葉です。「疲弊」や「紙幣」にも使われている「弊社」の「弊」という漢字には、くたびれた・廃れたのような意味があります。
つまり、「弊社」は、「自分の会社をボロボロな会社です」と相手に伝えるものです。
自分の会社の立場を下げることによって、相手の会社の立場を上げる言葉なので、「弊社」は謙譲語です。
そのため、社外の人に自分の会社のことを伝えたいときに使います。
もし、社内の仲間しかいない状況で「弊社の今期の売り上げは…」と報告を始めたら、周りの人に呆れられるでしょう。自分が属している会社は社内の仲間が属している会社でもあります。社内で会社のことを下げ、謙譲語である弊社と言うことは、同じ会社に属する上司や仲間の立場を下げることになります。
「弊社」を社内で使ってしまわないように注意してください。
また、「弊社」は、話し言葉でも書き言葉でも用います。
話し言葉とは、実際に声に出して会話する際に使う言葉のことです。一方書き言葉とは、書類やメールで使うフォーマルな言葉のことです。
つまり、社外の人と話すときにも、社外の人とメールをするときにも、「弊社」と使うことができます。
書き言葉で「弊社」を用いるには、相手を尊重する意味を込めたメッセージに用いると、丁寧で適切な表現ができます。以下では、「弊社」を使った例文をご紹介します。
- 本日は、弊社へ資料一式をお送りいただきまして、どうもありがとうございました。
- 弊社よりお見積りを出させて送付いたしますので、ご検討よろしくお願い申し上げます。
- 弊社のカタログを送付いたしました。ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
書き言葉である「弊社」は、謙譲語である「小社」に言い換えれます。また、話し言葉である「弊社」は、「私ども」という表現でも表せれます。
慣れてきたら、「弊社」の言い換える言葉を覚えてみてもいいでしょう。
「当社」は社内向けに使う言葉
次は、「当社」の意味と使い方をご紹介します。
「当社(とうしゃ)」は、社内の人に対して自分の会社を指す言葉です。
「当人」「当日」にも使われている「当社」の「当」という漢字には、その・それのような意味があります。
「弊社」が謙譲語であるのに対して、「当社」は、謙譲語でも尊敬語でもないことから丁寧語とよく説明されます。
しかし、「当社」自体には、丁寧な意味はなく、ただ自分の会社のことを示す単語です。当社は社内の人に対して自分の会社のことを伝えたいときに使ってください。
- 当社では、長年営業部門に力を入れてきました。
- 当社の2020年度の売上目標は〜。
また、「当社」は「自社」と言い換えれます。「自社」も「当社」と同様に、敬語ではありません。そのため、「当社」と同様に「自社」は、社内で使うことが一般的です。
「御社・貴社」の正しい使い方と例文
次は、「御社・貴社」の正しい使い方と例文をご紹介します。
「御社・貴社」とも、相手の会社のことを示す言葉です。2つの言葉の違いを以下で詳しくご紹介します。
「御社」は話し言葉
まずは、「御社」の意味と使い方をご紹介します。
「御社(おんしゃ)」は、自分が相手の会社のことを尊敬の念を込めて発する言葉です。
「御社」は、話し言葉ではありますが、書き言葉ではないことに注意してください。
例えば、履歴書や志望理由書などに「御社を志望した理由は〜」と書いてしまうと、「言葉を知らない人」であると思われてしまい心証が悪くなります。
メールや書類、志望理由書などに「御社」とは書かないようにしましょう。
「貴社」は書き言葉
では、メールや書類、志望理由書などに「御社」ではなく、何を使えばいいのでしょうか。
そこで活躍する言葉が「貴社」です。
「貴社(きしゃ)」は、「御社」と同様に、相手の会社のことを敬意を払いながら表した言葉です。
「貴社」は、「御社」とは逆に書き言葉ではありますが、話し言葉ではありません。
書き言葉なので、メールや書類、志望理由書などに書いても問題はありません。
しかし、面接や取引先との対面の会話で「貴社」と言ってしまうのは間違いです。
「御社」は話し言葉で、「貴社」は書き言葉なことに注意しましょう。
間違えると恥ずかしい「弊社・当社」「御社・貴社」の使い方をマスターしておこう
- 敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語がある
- 自分の会社を表す「弊社」は謙譲語で社内向け 「当社」は社内向け
- 相手の会社を表す「御社」は話し言葉 「貴社」は書き言葉
「弊社・当社」「御社・貴社」の正しい使い方をご紹介しました。
始めは使い慣れないかもしれませんが、使っていくうちに慣れていくでしょう。
何度も声に出して言ってみたり、書いてみたりして使い方を覚えてみてはいかがでしょうか。
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