ロールモデルとは、簡単に言うと「お手本となる人物」のことです。とはいえ、ビジネスパーソンのためのロールモデルとは、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような手の届かない位置にいる人物ではなく、また、漠然と「あの人のようになりたい」というようなことではなく、身近にいて自分の目でしっかりと観察できて、手本とすることができる人物でなければいけません。では、なぜこのロールモデルを持つことが必要なのでしょうか?
1. 理想像としてのロールモデル
仕事をするにあたって、「仕事ができる人」というのはある意味憧れでもあると思います。そういう人物をロールモデルとすることで、自分が仕事に打ち込むモチベーションにするとともに、自分が目指す方向性として設定することができます。いわば、理想像としてのロールモデルを持つことで、自分の方向性をブレさずに済むということです。
2. 現状認識のためのロールモデル
また、ロールモデルを自分の比較対象とすることで、自分の現状がロールモデルとどれだけ離れているかを知ることができます。具体的な能力の差を知ることで、ではその差を埋めるために、何をするべきかということが見えてくるでしょう。
3. 模倣するためのロールモデル
そして現状認識ができたらロールモデルを手本として、学ぶべき部分を模倣します。日本の能楽などの芸事や剣術などの武道、そして茶道などには「守・破・離」という言葉があります。これは、師匠について学んでいく段階を示しているのです。
「守」の段階は、とにかく師匠をお手本として模倣し、教わったことをひたすら守って言われた通りのことが、できるようになることに専念します。この段階では自分の考えなど入れてはいけません。言われたこともできないような段階で、自分の考えなど入れてしまうと、もうその先の段階に進むことなどできなくなります。
よく、「言われた通りにやっていてはダメだ」「自分できちんと考えなければいけない」というようなことが言われますが、そうであってはいけません。「守」の段階で重要なのは「言われたことを言われた通りにできる」ことです。
「破」の段階になると、今度は教わって身につけたことに自分なりの考えを加えていきます。自分の考えというのは、この段階になってやっと入れていいものです。言われた通りのことをやっていく時点で、「自分にはこうしたほうが合っているのではないか」というような思いがあったなら、ここで初めてそれを試していきます。
「離」は、そうして自分なりの改良を加えていって、師匠に教わったことを基礎に、自分流のやり方を打ち立てる段階です。ロールモデルを持つというのは、まず「守」の段階に入るということ。「守」の段階がない自己流というのは、砂上の楼閣のようなもので、応用力のない自己満足でしかありません。
ロールモデルを「師匠」と呼ぶのは大げさかもしれませんが、自分が学んで目指すべき人物という点では師匠のようなものです。ロールモデルを持つときは、そこに対抗心など持たずに、虚心に手本とするべきでしょう。
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