ドラマや実生活で「辞令」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、「辞令」の意味を詳しく知っている人は少ないでしょう。
本記事は、辞令の種類や辞令交付の意味・マナーなど社会人が知っておきたい基本知識をご紹介します。
- そもそも「辞令」とは何か
- 辞令交付の意味と行う理由
- 辞令交付式に出席するときのマナー
そもそも「辞令」とは?
「辞令ってドラマではよく聞くけど、意味はよくわからないな……」と思っている人もいるのではないでしょうか。
転勤や配属移動を命じる際に使われるイメージを抱いている人も多いですが、辞令の意味はそれだけではありません。
辞令とは、会社が従業員に昇給や昇進、転勤・配属異動などを命じる際に用いられる書類のことです。
昇給や昇進のように、ポジティブな意味合いでも使われ、昇給額や昇進先を「見える化」できるのが辞令の利点です。
「辞令」とは、端的に言ってしまえば「会社からの命令」という意味を持っています。
辞令を受け取ったら、ほとんどの場合、必ず従わなければならないことを心得ておきましょう。辞令に従わないと、業務命令違反という扱いにされかねないので要注意です。
「辞令」の種類
上記でご紹介したように、辞令は「昇給や昇進、転勤・配属異動などを命じる際に用いられる書類」です。
そのため、一概に辞令といっても様々な辞令が存在します。
以下では、辞令の種類を詳しくご紹介します。
採用辞令
初めに紹介する辞令の種類は、採用辞令です。
採用辞令とは、「採用が決まったことを交付する辞令」のことです。採用事例は、法律で交付することが義務づけられている書類ではありません。
しかし、労働基準法では、労働条件を明示することが義務付けられています。
そのため、会社として採用の日付や基本給などの意向を伝えるために採用辞令は作られます。
口頭でも労働条件を明示したことになりますが、採用辞令は、書面で交付する会社がほとんどです。
採用辞令の内容は以下のようなものが多いです。
- 貴殿を平成○年×月××日付をもって社員に採用する。基本給は月額△△円とする。
配属転換辞令
次に紹介する辞令の種類は、配属転換辞令です。
配属先や働く場所が変わった際にもらったことがある人も多いのではないでしょうか。
配属転換辞令とは、「配属先が変わることを交付する辞令」のことです。
配属転換辞令をもらうことで、今までしていた仕事に精神的に踏ん切りをつけられるのではないでしょうか。
採用辞令に加えて配属について記載された辞令は以下のようなものです。
- 貴殿を平成○年×月××日付をもって社員に採用し、〇〇部勤務を命じる。基本給は月額△△円とする。
その他の辞令
辞令の種類には、採用辞令・配属転換辞令の他にも、出張辞令・転籍辞令 ・転勤辞令 ・ 昇給辞令・昇格辞令などがあります。
出張辞令は、「出張をするように命じるために交付される辞令」です。
「出張のためだけに辞令を出す必要があるのか」と思う人もいるかもしれません。しかし、社会人は1〜3日の出張だけではなく、年単位の出張をする必要があります。
長い期間の出張を告げるためにも、出張辞令は必要なのです。
転籍辞令は、「転籍を命じるために交付される辞令」です。
「転籍」とは何かわからない人もいるのではないでしょうか。転籍とは、別の会社に異動することです。
出向と意味が似ているような気がする人もいるでしょうが、出向と転籍は明確に異なります。
そもそも、他の会社に行くことを意味する「出向」には2種類あることを知っているでしょうか。
出向には、「在籍出向」と「転籍出向」があります。一般的に、在籍出向を出向、転籍出向を転籍と呼びます。
転籍出向は、「籍を転じる」つまり、今まで勤めていた会社を辞める必要があります。
一方、在籍出向は、今まで勤めていた会社を辞める必要はなく、現在勤めている会社に籍をおいたまま他の会社に行きます。
転籍辞令は、会社を退職することを命じられる非常に大切な辞令です。そのため、転籍辞令は拒否の意思を示せます。労働者の同意がなければ、転籍させることはできないということを覚えておきましょう。
また、転籍辞令をもらった人は退職をする必要があるので、退職金について考える必要があります。退職金をもらえるか否かについては会社によって異なるので、退職金について詳しく会社と話し合うことをおすすめします。
また、転籍辞令の退職は、「会社都合の退職」になります。もし、失業保険を受ける場合は、「会社都合の退職」と書くことを忘れないようにしましょう。失業保険の金額が変わる可能性があるからです。
転勤辞令とは、「転勤を命じるために交付される辞令」です。
転勤辞令は、基本的には断ることはできません。しかし、転勤なしという会社の規則で働いていた人は、転勤辞令は拒否できます。
昇格辞令、昇給辞令は、辞令には珍しく「喜ばしいことを告げてくれる辞令」です。
昇格辞令、昇進辞令に交付理由は書かれておらずに「〇〇課長に任命する」のように短く結論だけが書かれています。ただ昇格・昇給するだけではなく、辞令によって伝えてもらうと喜びもひとしおでしょう。
「辞令」に含まれている内容
「辞令」に含まれている内容をご存知でしょうか。
辞令には、発令日や受令者、発令者、内容などが書かれています。
事例を受け取ったときは、内容に着目する人が多いのではないでしょうか。
受令者が間違いなく自分であることも一応確認しておきましょう。
「辞令交付」とは?
辞令について詳しくご紹介しました。辞令を受け取る際に「辞令交付」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
以下では、「辞令交付」とは何かについて詳しくご紹介します。
「辞令」を当該者にくだすことを「交付」という
「辞令交付」の意味をご紹介します。
辞令は、「企業や組織が従業員・組織構成員に対して役職を任命、あるいは免職を指示・命令する文書」です。
つまり、人事に関する大きな取り決めを会社や組織がそこで働く人に通知するための文書が「辞令」です。
その辞令を当該者に渡すことを「交付」と呼びます。
おそらく一番多く見かける機会が多く、自分でも受け取る機会があるのは「社内異動」や「昇進」の辞令ではないでしょうか。
「辞令交付」と「辞令発令」の違いがわからないという人もいるのではないでしょうか。
「発令」は従業員の昇進や転勤などを命じる指示を出すことです。辞令を渡すこと(交付)とは異なり、指示を出した時点で「発令」となります。
入社時に「辞令交付」を経験している
「辞令交付なんて一生受けることはないだろう」と思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、自分が知らないうちに「辞令交付」を受けているのかもしれません。
上記でご紹介した「採用辞令」は、企業が採用者に対して採用することを伝えるものです。
そのため、ほとんどの人は入社時に「辞令交付」を経験しています。
- 辞令:企業や組織が、従業員・職員に対して異動を指示または命令する文書のこと。
- 交付:辞令の内容を書面として渡すこと。辞令交付においては、辞令を受け取った日が交付日となる
「辞令交付」を行う理由
辞令交付のタイミングは、昇格や降格、昇給、減給、社内異動、出向、転勤、転任などの人事関連で動きがあったときにあります。
では、辞令交付を行う理由とは何でしょう。
以下では、辞令交付をなぜ行うかについてご紹介します。
人事に関する重要事項を正確に伝えるため
辞令交付は法律で義務付けられていないのに、どうして辞令を渡すのでしょうか。
法律で義務付けられていないのにも関わらず、多くの企業が辞令交付を行うのは、「人事に関する重要事項」を間違いなく伝えるためです。
辞令による異動は引っ越しを伴うものをはじめ、企業と従業員間の認識のズレが許されないものです。
間違いが起こらないように、文書で確実に対象者へ伝達することが辞令交付の目的です。
多くの場合は、事前に企業から内示によって該当者に異動の内容が知らされます。異動内容に合意すれば辞令が発令され、交付にいたります。
異動の「自覚」を促すため
辞令には命令内容だけでなく、誰が誰に命令するのか、その期間や実施日時を明記しなくてはなりません。
内容だけでなく発令者と受令者が明確にされていることが、辞令の必要条件になります。
また、辞令交付には内容を文書にして渡すことで、受令者は異動するのだと自覚を促せるという効果もあります。
辞令交付式に出席するときのマナー
辞令交付式は、大切な辞令をもらう厳かな場所です。
そのため、辞令交付式に出席するにはマナーがあります。
男性の場合は、リクルートスーツに革靴をあわせましょう。A4サイズが入るかばんを持っていくと、辞令をきれいに持ち帰れます。
女性の場合も、リクルートスーツやストッキング、パンプスのように一般的な式辞の格好をしましょう。
「辞令」とは「会社からの命令」
- 辞令は、「企業や組織が重要な内容を指示・命令する文書」
- 辞令交付は、「人事に関する重要事項」を間違えなく伝えるもの
- 辞令交付式は、式辞にふさわしい服を着る
本記事では、辞令や辞令交付について詳しくご紹介しました。
辞令交付をスムーズに受け入れるためには、「辞令と交付」それぞれの意味を理解しておく必要があります。
「辞令交付」は働く上で重要な言葉なので、ある日突然、辞令を受け取ったときに焦らないように、内容を覚えておいてください。
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